テレビの側面や背面にある細い挿入口を前にして、B-CASカードをどちら向きに入れればいいのか手が止まってしまう。金色の部分は上か下か、文字が書いてある面は手前か奥か。説明書はもう見当たらず、ネットで調べると人によって言うことが違う。そんな状態でこのページに来た方が多いと思います。
先に結論をお伝えすると、B-CASカードの向きには「全メーカー共通の正解」がありません。カードを発行しているB-CAS社自身が、スロットの位置も挿入方向も受信機ごとに異なるので取扱説明書で確認してほしい、と案内しています。そのため、この記事では「上下はこう」と一つに決めつけるのではなく、カードの切り欠きと金色のICチップを手がかりに向きを見分ける方法と、メーカー公式FAQに書かれている確認手順を横に並べて整理しました。
あわせて、挿したのに「B-CASカードを入れてください」「読み取れません」と表示されるときに試す順番、そもそもカードを挿す場所がないACASチップ内蔵テレビの見分け方、引っ越しや買い替えのときのカードの扱いまで、メーカーをまたいで共通する考え方から順番に説明します。
・B-CASカードの向きに全機種共通のルールがない理由と、向きを見分ける手がかり
・ソニー/東芝REGZA/ニトリの公式FAQに書かれている確認手順の違い
・「読み取れません」と出たときに安全なものから試す順番
・ACASチップ内蔵テレビや、引っ越し・買い替え・破損時のカードの扱い
bcasカード向きに「全機種共通の正解」がない理由

カードを発行するB-CAS社が「説明書で確認」と案内している
最初の見立てとして、向きに迷ったときの正解は「そのテレビの取扱説明書に載っている図」です。ネットで見かけた「金色の面を下に」「文字面を手前に」という説明は、ある機種では当たっていても、別の機種では逆になっている可能性があります。
根拠はカードの発行元の説明にあります。B-CAS社のFAQでは、B-CAS社の公式FAQで「受信機によってスロットの位置や挿入方向が異なりますので、受信機の取扱説明書等でご確認の上、正しく挿入してください。」と案内されています。カードそのものは共通でも、それを受け取るテレビ・レコーダー側の作りがメーカーや機種ごとに違うため、発行元としても一律の向きを示していないわけです。
自分で試す順番としては、まず本体に貼られた型名シールで型名を確認し、手元に説明書があれば「B-CASカードの挿入」のページを開きます。説明書がない場合は、メーカーの公式サポートサイトで型名を入力すると、取扱説明書のPDFやオンライン版が見られることが多いです。それも難しければ、挿入口のまわりに向きの表示があるかをライトで照らして確認します。
判断のコツは、「説明書の図がある機種は図に従い、図が見つからない機種ほど無理に押し込まない」ことです。向きが合っていれば軽い力で奥まで入るのが普通なので、途中で引っかかる感触があれば一度抜いて向きを見直すのが安全です。
B-CASカード=デジタル放送の受信機に同梱されているICカード。名前は「BS CONDITIONAL ACCESS SYSTEMS」の頭文字に由来します。著作権保護や有料放送の視聴、自動表示メッセージ、データ放送の双方向サービスなどに使われます。
向きの間違いは「初めて設置したのに映らない」の代表的な原因
新しく買ったテレビや、しばらく使っていなかったレコーダーをつないで映らないとき、まず疑う候補の一つがカードの向きです。故障を疑う前に確認する価値があります。
B-CAS社のFAQでは、設置したばかりで映らないケースについてB-CAS社の公式FAQで「カードの挿入方向、アンテナの接続方法は受信機の取扱説明書等でご確認ください」と、アンテナ接続と並べてカードの挿入方向を挙げています。つまり初回設置のトラブルでは、カードの向きとアンテナ線のつなぎ方の二つが最初の切り分けポイントになります。
試す順番は、電源プラグを抜いた状態でカードを一度抜き、向きを確認してから奥まで挿し直す→電源を入れて表示を見る→それでも映らなければアンテナ線がテレビの正しい端子(地上デジタル用・BS/CS用)につながっているかを確認する、の流れです。アンテナ線は壁側・テレビ側の両方の差し込みを見てください。
判断の目安として、カード関連のメッセージが消えてもチャンネルが映らない場合は、原因がカードからアンテナ・受信側に移っています。その場合は受信トラブルの切り分けに進みます。
「同じメーカーなら同じ向き」とは限らない
以前使っていたテレビと同じメーカーだから同じ向きで大丈夫、と考えるのは危うい見立てです。挿入口の位置が変われば、カードを持つ手の角度も変わり、結果として上下や表裏の感覚がずれやすくなります。
原因は、B-CAS社の説明にもあるとおり、スロットの位置が受信機ごとに異なる点にあります。背面に横向きの口がある機種、側面に縦向きの口がある機種、前面の扉の内側にある機種などでは、「上」と感じる方向が人によって変わります。さらに、機種によっては小型のminiB-CASカードを使うものもあり、カードの大きさ自体が以前と違うこともあります。
自分で試すときは、テレビの向きではなく「カードの切り欠きの位置」と「金色のICチップの位置」を基準に考えると混乱しにくくなります。説明書の図でも、この二つが描かれていることが多いからです。図と手元のカードを見比べ、切り欠きの位置が一致する持ち方で挿します。
注意点として、以前のテレビで使っていたカードをそのまま新しいテレビに挿すのは、向き以前の問題でおすすめできません。これについては後半の買い替えの項目で詳しく説明します。
向きに迷ったら、ネットの「上下はこう」ではなく、そのテレビの取扱説明書の図で確認するのが確実です。図が見つからなければ、切り欠きと金色のICチップの位置を手がかりに、軽い力で奥まで入る向きを探します。
挿す前に見ておく場所は3つ|切り欠き・金色チップ・電源プラグ
カードの角にある「切り欠き」が向きの目印になる
向きを見分ける一番の手がかりは、カードの角が斜めに欠けている「切り欠き」です。説明書の挿入図でも、この切り欠きの位置で向きを示していることがあります。
具体例として、ニトリが取り扱うテレビ(miniB-CASカード使用)の手順では、ニトリ公式FAQで「切り欠きが下になるようにしっかりと挿入してください」と案内されています。ただしこれはニトリ取扱いテレビの手順であり、他社のテレビも切り欠きが下とは限りません。他社製品は、それぞれの説明書に従ってください。
試す順番は、カードを手に取って切り欠きがどの角にあるかを確認する→説明書の図(またはメーカー公式FAQ)で切り欠きの位置を確認する→図と同じ位置になるように持ち替えて挿す、の3段階です。切り欠きの位置を先に決めると、表裏と前後が自然に決まります。
判断のコツは、「切り欠きの位置が図と合っているのに入らない」場合は、カードの大きさ違い(通常サイズとminiサイズ)や、別の挿入口(SDカードスロットなど)に挿そうとしていないかを疑うことです。挿入口が複数ある機種では、口の近くの表示を必ず読みましょう。
金色のICチップには指で触れない
カードの片面にある金色の部分は、テレビ側と情報をやり取りするICチップ(端子)です。向きを確認するときに触ってしまいがちですが、ここに指紋や皮脂が付くと読み取りにくくなる原因になります。
ニトリの同じFAQでも、金色端子部に指で触れないよう注意が書かれています。また、ソニーの公式サポートではカードが読み取れないときの対処として「ICチップ(金色に光っている部分)を拭くと改善します」と案内しており、チップの汚れが認識不良の原因になりうることがわかります。
自分で扱うときは、カードの縁(ふち)を持ち、チップ面を指でつままないようにします。すでに触ってしまった場合や、長年挿しっぱなしでほこりが気になる場合は、乾いた柔らかい布でやさしく拭いてから挿します。水やアルコールで濡らした布は使わず、乾いた布にとどめるのが無難です。
注意点として、チップに傷や欠けがあるように見える場合は、拭いても改善しない可能性があります。その場合は破損の扱いになるので、後半の「破損・紛失」の項目を参照してください。
挿入口は背面・側面・前面の扉の内側を探す
「カードをどこに挿せばいいかわからない」という段階で止まっている場合、挿入口は本体の背面、側面、前面の扉の内側のいずれかにあることが多いです。壁掛けや壁際に置いたテレビでは、手探りで探すことになりがちです。
挿入口が見つからない理由は大きく二つあります。一つは位置が機種ごとに違うこと、もう一つはそもそも挿入口がない機種であることです。後者はACASチップを内蔵したテレビで、パナソニックの公式FAQでもACAS対応機にはB-CASカード用の挿入口がないと説明されています(詳しくは後の章で扱います)。
探す順番は、電源を切って画面を暗くし、スマートフォンのライトで背面→側面→前面の下部や扉の内側を照らす→挿入口らしき細い口を見つけたら、近くに「B-CAS」の表示があるか確認する、です。テレビを動かす必要があるときは、転倒や落下に注意し、一人で持ち上げにくいサイズなら二人で作業してください。
判断のコツとして、どこを探しても挿入口がなく、テレビにカードが付属していなかった場合は、ACAS内蔵機の可能性を先に確認しましょう。カードがないのに探し続けるより、型名で公式の仕様を確認したほうが早く解決します。
抜き差しは電源プラグを抜いた状態で行う
向きを確認するためにカードを抜き差しするときは、テレビの電源を切るだけでなく、電源プラグをコンセントから抜いた状態で行うのが安全な手順です。
ニトリ公式FAQでは、カードの抜き差しは電源プラグをコンセントから抜いた状態で行うよう案内されています。また、同FAQでは「「カチッ」という音がするまで確実に挿入してください。挿入が不十分だと、カードが正常に認識されません」とも書かれており、挿し込みの深さが認識に関わることがわかります(ニトリ公式FAQ)。
試す順番は、リモコンで電源を切る→電源プラグをコンセントから抜く→カードを抜いて向きとチップの汚れを確認する→奥まで挿す(機種によってはカチッと音がする)→電源プラグを挿して電源を入れる、です。プラグを抜き差しする際は、濡れた手で触らないようにします。
注意点として、カチッという音やロックの感触があるかどうかは機種によって異なります。音がしない機種で無理に押し込み続けるのは避け、奥に突き当たった時点で止めてください。
カードの抜き差しは電源プラグをコンセントから抜いてから行います。金色のICチップには指で触れず、カードの縁を持ちましょう。途中で引っかかる場合は押し込まずに一度抜き、向きを見直してください。本体の裏ぶたを開けるなどの分解は行わないでください。
メーカー公式FAQで見る向き・挿し方の違い

メーカーごとに公式が書いていることは違う
結論として、メーカーの公式FAQは「具体的な向きを書いているところ」と「向きを確認するよう促すだけのところ」に分かれます。どちらが正しいというより、FAQの役割が違うと考えるとわかりやすいです。
理由は、先に紹介したとおり向きが機種ごとに異なるためです。多くの機種を抱えるメーカーほど、FAQでは一般的な確認項目(向き・挿し込みの深さ・汚れ)を案内し、具体的な図は機種ごとの取扱説明書に任せる傾向があります。一方、取り扱う機種が限られる場合は、FAQで向きまで具体的に書かれていることがあります。
下の表は、テレビのトリセツ編集部が各社の公式FAQに書かれている内容だけを並べたものです。公式に記載がない項目は「公式に記載なし」とし、二次情報で埋めていません。
| 項目 | ソニー | 東芝REGZA | ニトリ(miniB-CAS) |
|---|---|---|---|
| 具体的な向き | 前後・表裏が逆でないか確認するよう案内 | FAQ本文に具体的な方向の記載なし(取扱説明書で確認) | 切り欠きが下 |
| 挿し込みの深さ | 奥まで突き当たるまで差し込む | 挿入方法に間違いがないか確認 | カチッと音がするまで |
| 汚れへの対処 | ICチップを乾いた布で優しく拭く | 汚れを確認して抜き差し | 金色端子部に指で触れない |
| 直らないとき | リセット→別カードとの交換→修理相談 | 改善しなければテレビ本体の問題へ | 公式に記載なし |
ソニー:前後・表裏の両方と「奥まで」を確認する
ソニーのテレビ・レコーダーでカード関連のメッセージが出た場合、公式サポートの最初の確認項目は向きと挿し込みの深さです。前後と表裏の二つの軸で確認するよう書かれている点が特徴です。
ソニーの公式サポートページでは、確認項目として「B-CASカードの向きが前/後、表/裏が逆になっていないか」を挙げ、奥まで突き当たるまで差し込むよう案内しています。向きは「上下」だけでなく、「どちらの端から入れるか(前後)」と「どちらの面を上にするか(表裏)」の組み合わせで決まる、という整理です。
試す順番は、公式に沿って、向き(前後・表裏)の確認と奥までの挿し直し→ICチップを乾いた布で優しく拭く→テレビのリセット→別のカードとの交換を検討→修理相談、と段階的に進みます。リセットの具体的な操作は機種によって異なるため、取扱説明書のリセット手順に従ってください。
判断のコツは、前後・表裏の組み合わせは4通りしかないので、説明書の図がなくても、無理に押し込まず軽い力で試せば奥まで入る向きは見つかりやすい、という点です。ただし、奥まで入ったのにメッセージが消えない場合は、向き以外(汚れ・カード・本体)の原因に進みます。
東芝REGZA:向き・挿入方法・汚れをまとめて確認
東芝REGZAの公式FAQは、具体的な向きを示すのではなく、向き・挿入方法・汚れを確認して抜き差しするよう案内しています。向きそのものは、機種ごとの取扱説明書で確認する前提です。
REGZAの公式FAQでは「B-CASカードの向きや挿入方法に間違いがないかご確認のうえ、抜き差ししてください」と書かれています。そのうえで、抜き差ししても改善しない場合はテレビ本体側の問題を疑う流れになっています。
試す順番は、取扱説明書(紙または公式サイトのオンライン版)で型名に合った挿入図を確認する→電源プラグを抜いてカードを抜き、チップの汚れを見る→図どおりの向きで挿し直す→電源を入れて表示を確認する、です。説明書が手元になければ、REGZAの公式サポートで型名から探せます。
注意点として、この記事ではREGZAの具体的な向き(切り欠きの位置など)はFAQ本文で確認できなかったため書いていません。「REGZAは○○が上」といった情報をネットで見かけても、機種が違えば当てはまらない可能性があるので、型名で説明書を確認してください。
ニトリ(miniB-CAS):切り欠きが下・カチッと音がするまで
ニトリが取り扱うテレビは、FAQの中で向きまで具体的に書かれている例です。miniB-CASカードを使う機種で、切り欠きの位置と挿し込みの目安がはっきり示されています。
ニトリ公式FAQでは、切り欠きが下になるように挿入すること、カチッと音がするまで確実に挿入すること、抜き差しは電源プラグをコンセントから抜いた状態で行うこと、金色端子部に指で触れないことが案内されています。挿入が不十分だとカードが正常に認識されない、とも書かれています。
試す順番は、電源プラグを抜く→カードの縁を持ち、切り欠きが下になる向きにする→カチッと音がするまで挿す→プラグを挿して電源を入れる、です。一度挿したのに認識されない場合は、音がするところまで入っていたかを確かめるために、もう一度抜いて挿し直します。
判断のコツとして、この「切り欠きが下」はあくまでニトリ取扱いテレビの手順です。他社のテレビで同じ向きを試して入らなかったとしても、それは故障ではなく機種の違いである可能性が高いので、各社の説明書に戻ってください。
挿したのに「読み取れません」と出るときに試す順番
表示されるメッセージの意味を先に押さえる
カードを挿したのに、画面に「B-CASカードを入れてください」「B-CASカードが読み取れません」「アクセスが成立しません」といったメッセージが出る場合、テレビがカードを正しく認識できていない状態です。表現は機種によって異なりますが、向き・挿し込み・汚れのどこかに原因があることが多いです。
ソニーの公式サポートでは、こうしたカード関連のメッセージが出たときの対処として、向きの確認、ICチップの清掃、リセット、別カードとの交換、修理相談を段階的に案内しています。向きの確認が一番最初に置かれていることから、原因としてまず疑うべきなのは向きと挿し込みだとわかります。
試す前にやっておきたいのは、表示されたメッセージの文言を控えておくことです。スマートフォンで画面を撮影しておくと、あとでメーカーサポートに相談するときに説明がスムーズになります。エラーコードが一緒に表示されている場合は、それも記録しておきましょう。
判断のコツは、メッセージがカード関連かどうかを見分けることです。「受信できません」「信号がありません」のような受信系のメッセージであれば、カードではなくアンテナ側の問題の可能性が高く、切り分けの方向が変わります。

手順1:向きを確かめて、奥まで挿し直す
最初に試すのは、電源プラグを抜いた状態でカードを抜き、向きを確かめてから奥まで挿し直すことです。お金も道具もかからず、リスクも小さい手順です。
向きが合っていないと、カードのチップとテレビ側の接点が触れず、認識されません。また、向きが合っていても奥まで入っていなければ同じことが起きます。ソニーは奥まで突き当たるまで、ニトリはカチッと音がするまで挿すよう案内しており、挿し込みの深さも認識の条件になっています。
具体的には、電源を切ってプラグを抜く→カードを抜く→説明書の図と切り欠き・チップの位置を照らし合わせる→軽い力で奥まで挿す→プラグを挿して電源を入れる、の順で行います。挿しっぱなしだったカードが少し浮いてきていることもあるので、見た目で入っているように見えても一度抜いて挿し直すほうが確実です。
ここで一つ、よくある失敗パターンを挙げておきます。メッセージが消えないからといって、向きを確認しないまま何度も押し込み直してしまうケースです。向きが逆のまま力を加えると、カードや挿入口を傷める原因になりかねません。対策は、入らないと感じたら押す前に一度抜き、説明書の図で向きを確認することです。
手順2:ICチップを乾いた布でやさしく拭く
向きと挿し込みに問題がないのにメッセージが消えない場合、次に疑うのはICチップの汚れです。長年挿しっぱなしだったカードや、指で触れてしまったカードで起こりやすい原因です。
ソニーの公式サポートでは、ICチップを乾いた布で優しく拭くよう案内されています。チップ表面の汚れや皮脂が、テレビ側の接点との接触を妨げている場合があるためです。
拭くときは、メガネ拭きのような乾いた柔らかい布を使い、チップ面をやさしくなでるように拭きます。力を入れてこすったり、硬いもので削ったりするのは避けてください。拭き終わったら、チップに指が触れないよう縁を持って、手順1と同じように奥まで挿し直します。
判断の目安として、拭いてもメッセージが変わらず、チップに目に見える傷や欠けがなければ、カードではなくテレビ側の読み取りやソフトの一時的な不調も考えられます。その場合は手順3のリセットに進みます。
手順3:リセット、別のカード、修理相談の順に進む
向き・挿し込み・汚れの三つを確認しても改善しないときは、テレビ本体の一時的な不調を疑って、リセット(再起動)を試します。そのうえで直らなければ、カードかテレビのどちらに原因があるかを切り分けます。
ソニーの公式サポートでは、テレビのリセット、別カードとの交換、修理相談と段階的に進むよう案内されています。東芝REGZAの公式FAQも、抜き差しで改善しない場合はテレビ本体の問題を疑う流れです。
リセットの操作は機種によって異なるため、取扱説明書のリセット手順に従ってください。リセット後も同じメッセージが出る場合は、カードの再発行や修理相談の段階です。家に同じ種類のカードを使う別の機器がある場合でも、カードの扱いには後述するルールがあるので、自己判断で入れ替えるより、メーカーサポートに症状を伝えて指示を受けるほうが安全です。
判断のコツは、「どの手順で何が変わったか」を記録しておくことです。サポートに相談するときに、向き・清掃・リセットまで試したことを伝えられれば、切り分けが早く進みます。修理費用はメーカーや症状によって異なるため、メーカー公式にご確認ください。

| 状況 | まず試すこと | 直らないときの目安 |
|---|---|---|
| カードが途中で止まって入らない | 押し込まずに抜き、説明書の図で向き・カードの大きさを確認 | 挿入口が別物でないか、ACAS機でないかを型名で確認 |
| 挿したのに「入れてください」と出る | 電源プラグを抜いて向きを確認し、奥まで挿し直す | ICチップの清掃→リセットへ進む |
| 「読み取れません」が消えない | ICチップを乾いた布でやさしく拭く | リセット後も同じならメーカーサポートへ相談 |
| カードの表示は消えたが映らない | アンテナ線の接続と端子の種類を確認 | 受信トラブルとして切り分けを進める |
カードを挿す場所がないテレビは故障ではない?ACASの見分け方
挿入口がなければACASチップ内蔵機の可能性が高い
本体をどれだけ探してもカードの挿入口が見つからず、箱にカードも入っていなかった場合、そのテレビはACASチップを内蔵したタイプの可能性が高いです。この場合、向きを気にする必要はそもそもありません。
パナソニックの公式FAQでは、パナソニック公式FAQで「ACAS 対応機には B-CAS カード用の挿入口がない」と説明されています。ACAS対応機では、B-CASカードは利用できません。つまり挿入口がないのは仕様であり、故障や部品の欠品ではありません。
確認の順番は、本体の型名シールで型名を控える→メーカーの公式サイトで型名を検索し、仕様や取扱説明書に「ACAS」の記載があるかを見る→記載があれば、カードの挿入は不要と判断する、です。テレビのメニュー画面でACASの番号を表示できる機種もあるので、説明書で表示方法を確認するのも手です。
判断のコツとして、ACAS機で映らない場合は、カード以外の原因(アンテナ接続・初期設定・チャンネルスキャン)を疑うことになります。カードを探し回るより、受信系の切り分けに時間を使うほうが解決に近づきます。
ACASとB-CASで見られる放送の範囲が違う
ACASとB-CASは役割が似ていますが、対応している放送の範囲に違いがあります。新4K8K衛星放送を見たい場合に関わってくるポイントです。
シャープの公式サポートページでは、ACASは新4K8K衛星放送と地上デジタル放送、BS・110度CSデジタル放送に対応し、B-CASは地上デジタル放送とBS・110度CSデジタル放送に対応すると説明されています。また、B-CASは挿入式のカードであるのに対し、ACASは本体に内蔵されたチップで抜き差しできません。同ページには「ACASチップは製品に内蔵されているため、お客様では差し換えることはできません。」と書かれています。
自分で確認するときは、テレビの仕様表で対応放送とあわせて「B-CAS」「ACAS」のどちらの記載があるかを見ます。新4K8K衛星放送を見るための機器を検討している場合は、ACAS対応かどうかも確認項目の一つになります。
注意点として、ACASチップは差し換えられないため、チップ自体の不調が疑われる場合はメーカーの修理相談の対象になります。自分で本体を開けるような対処はしないでください。
実は「カードが見当たらない」ほうが今は珍しくない
意外と知られていないけれど、「テレビにはB-CASカードが挿さっているもの」という前提は、機器によってはもう当てはまりません。カードが見当たらないことに不安を感じて、中古品を疑ったり、カードだけ別に手に入れようとしたりする前に、ACAS機かどうかを確かめる価値があります。
理由は、ACASチップが本体に内蔵され、B-CASカード用の挿入口そのものがない機器があるためです。この場合、「カードの向きがわからない」「カードがない」という悩みはどちらも発生しません。検索で「向き」を調べている方の中にも、実はカードを挿す必要がない機器を使っている方が含まれている可能性があります。
確認の順番は、型名で公式仕様を調べる→ACASの記載があるか見る→あればカード探しを終える、の三段階です。記載がなく挿入口もない場合は、テレビではなくチューナーを内蔵しないタイプのディスプレイである可能性もあるので、仕様表で地上デジタルチューナーの有無を確認してください。
判断のコツは、「カードがないから映らない」と決めつけないことです。ACAS機やチューナーのない機器では、映らない原因は別のところにあります。
赤いカードと青いカード、どちらを挿してもいい?
赤はBS・CS・地デジ対応、青は地デジ専用の受信機向け
B-CASカードには色の違うものがあり、見た目で役割が区別されています。向きの問題とは別に、「そもそもこの機器用のカードか」を確認するときの手がかりになります。
B-CAS社の公式FAQでは、「B-CASカードは、デジタル放送受信機に同梱されているICカードです」と説明されています。種類としては、赤いカードがBS・CS・地上デジタル対応受信機向け、青いカードが地上デジタル専用受信機向けとされています。
確認の順番は、今挿さっている(または挿そうとしている)カードの色を見る→そのテレビやレコーダーがBS・CSにも対応しているか、地上デジタル専用かを仕様で確認する→機器に同梱されていたカードかどうかを思い出す、です。家に複数の機器がある場合、カードの取り違えが起きていないかも確認してください。
判断の目安として、同じ家の中で機器ごとにカードを入れ替えた覚えがある場合は、それぞれの機器に同梱されていたカードに戻すのが基本です。どのカードがどの機器のものかわからなくなったら、メーカーサポートやB-CAS社のサポートで相談できます。
カードの所有権はB-CAS社にある
あまり意識されませんが、手元にあるB-CASカードは、厳密には購入者のものではありません。この点を知っておくと、譲渡や廃棄のときの扱いが理解しやすくなります。
B-CAS社の公式FAQでは、カードの所有権はB-CAS社にあると説明されています。カードは受信機に同梱されて利用者に貸与される形になっているため、破損したときの返却や、機器を手放すときの返却・破棄にルールがあるわけです。
日常の扱いとしては、カードを曲げたり、チップ面に傷を付けたりしないよう、挿入口に挿したままにしておくのが基本です。テレビを移動・運搬するときに一時的に抜く場合は、紛失しないよう封筒などに入れて保管し、機器とセットで管理します。
注意点として、ネットオークションやフリマアプリでカード単体を売買するのは、所有権の考え方からして避けるべき行為です。困ったときは、B-CAS社の公式窓口の案内に従ってください。
向きを直しても認識されないときは、「そのカードはこの機器に同梱されていたものか」を確認します。別の機器のカードや、古いテレビから持ってきたカードを挿していないかが、見落としやすい原因です。
古いテレビのカードを新しいテレビに挿すのは避ける
テレビを買い替えたとき、「前のテレビのカードを移せばいい」と考える方は少なくありません。しかし、新しい受信機には同梱されている新しいカードを使うのが公式の案内です。
B-CAS社の公式FAQでは、新受信機には同梱の新カードを使うよう案内されており、旧カードを継続して使うと受信できなくなる場合があるとされています。向きを何度確かめても映らない原因が、実はカードの取り違えだったということも起こりえます。
ここで二つ目の失敗パターンです。買い替えのとき、新しいテレビに同梱されていたカードを箱ごと片付けてしまい、古いテレビから抜いたカードを挿して使い続けるケースです。その場ではカードの向きを合わせても、後から受信できなくなるリスクを抱えたままになります。対策は、開梱時にカードの封筒を確認し、新しいテレビには新しいカードを挿す、と決めておくことです。
判断のコツとして、古いカードは新しいテレビに移さず、旧機器の廃棄・譲渡のルールに沿って扱います。具体的な手順は次の章で説明します。

引っ越し・買い替え・譲渡・破損のときはどうする?
引っ越し後に映らないのはカードより地域設定が原因
引っ越しのためにテレビの配線を外し、新居でつなぎ直したら映らない。このとき、まずカードの向きを疑いがちですが、公式の案内では原因は別のところにあります。
B-CAS社の公式FAQでは、B-CAS社の公式FAQで「引っ越しによって、受信機の地域設定・チャンネルスキャンが再度必要になります。」と説明されています。引っ越し後に映らない主な原因は地域設定とチャンネルスキャンの再実施であり、カード自体は原因ではない、という整理です。
試す順番は、運搬のためにカードを抜いた場合は電源プラグを抜いた状態で正しい向きに挿し直す→アンテナ線を新居の壁の端子とテレビの正しい端子につなぐ→テレビのメニューから地域設定を新居の地域に変更する→チャンネルスキャンを実行する、です。カード関連のメッセージが出ていなければ、カードは問題なく認識されていると考えてよいでしょう。
判断のコツは、表示されているメッセージがカード関連か、受信関連かを見分けることです。受信関連であれば、地域設定とスキャンを優先してください。

有料放送を見ている人は番号の変更を忘れずに
WOWOWなどの有料放送を契約している場合、テレビやレコーダーを買い替えると、契約に登録しているカードの番号と新しい機器の番号が一致しなくなります。向きを正しく挿しても、有料チャンネルだけ見られない状態になるのはこのためです。
WOWOWの公式サポートでは、テレビや録画機を買い替えたときに、契約先でB-CAS/ACAS番号を新しい機器の番号へ変更する手続きが案内されています。WOWOWと直接契約している場合は、My WOWOWのテレビ放送利用情報で番号を変更し、BS-9chを選局して約15分待つ流れです。ケーブルテレビ経由で契約している場合は、オンラインで変更できない番号があるため、問い合わせが必要になります。
手順としては、新しい機器のB-CASカード番号(またはACASの番号)を確認する→契約先の案内に沿って番号変更を申し込む→案内された方法で選局して待つ、です。カード番号はカード本体に印字されているほか、テレビのメニューから表示できる機種もあります。
注意点として、手続きの方法は契約先によって異なります。ケーブルテレビやその他の有料放送を契約している場合は、それぞれの契約先の案内に従ってください。
手放す・譲り受けるときのカードの扱い
テレビやレコーダーを廃棄したり、知人に譲ったりするとき、カードをどうするかは見落としやすいポイントです。逆に、中古で譲り受けたテレビにカードが挿さっていた場合にも手続きがあります。
B-CAS社の公式FAQでは、B-CAS社の公式FAQで「以前お使いの受信機器を廃棄または譲渡する場合は、使用されていたカードはB-CAS社へ返却、もしくはお客様自身が切断して破棄してください。」と案内されています。譲り受けた側は、共用カードであれば使用者変更の申請を行います。一方、ケーブルテレビ専用カードは第三者への変更ができず、B-CAS社の公式FAQで「ご加入のケーブルテレビ会社まで返却してください」とされています。
読者のタイプ別に整理すると、テレビを捨てる方はカードを返却するか切断して破棄、テレビを譲る方は同じくカードを返却か破棄し、譲り受けた方は共用カードなら使用者変更の申請、ケーブルテレビのチューナーを使っている方は加入先のケーブルテレビ会社に返却、となります。ACAS機を手放す場合は、有料放送の契約先に登録していればACAS番号の変更や解除の手続きを行います。
判断のコツは、カードの種類(共用かケーブルテレビ専用か)を先に確認することです。わからない場合は、B-CAS社のサポートに相談すると確実です。
カードが割れた・なくしたときは捨てずに手続きへ
カードを落として割ってしまった、引っ越しの荷物に紛れて見つからない、といった場合は、再発行の手続きが必要です。向きを試す以前に、カードが使える状態かを確認しましょう。
B-CAS社の公式FAQでは、B-CAS社の公式FAQで「破損してしまったカードは弊社へ返却が必要になりますので破棄されずに保管をお願いします。」と案内されています。紛失や盗難の場合も、再発行の手続きが用意されています(B-CAS社の公式FAQ)。ケーブルテレビ専用カードの場合は、加入しているケーブルテレビ会社に連絡します。
試す順番は、割れたカードは捨てずに封筒などで保管する→B-CAS社の公式サイトで再発行の手続きを確認する→ケーブルテレビ専用カードなら加入先に連絡する、です。再発行の費用や詳しい条件は、B-CAS社の公式手続きページで確認してください。
注意点として、割れたカードをテープで補修して挿すのは避けてください。挿入口の中で引っかかり、取り出せなくなる可能性があります。カードが挿入口から抜けなくなった場合も、ピンセットなどで無理に引き出さず、メーカーサポートに相談するのが安全です。
bcasカード向きのまとめ
まずはテレビの型名を確認し、取扱説明書(公式サイトのオンライン版でも可)で挿入図を開くところから始めてみてください。図と手元のカードの切り欠きを見比べるだけで、迷っていた向きの多くは解決します。
※最新情報はメーカー公式サポートでご確認ください。

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