夕方にテレビをつけたらフジテレビだけ画面が真っ暗になっている。あるいはブロック状のノイズが出て音も途切れる。昨日まで普通に見られていたのに、と思うと「今日はフジテレビで電波障害が起きているのでは」と検索したくなります。
先に結論をお伝えすると、テレビの画面だけを見て「局側の放送障害」か「自宅や地域の受信トラブル」かを区別することはできません。そして、特定の1局だけが映らない症状は、アンテナの高さとチャンネルごとの電波の相性、ブースターや配線の劣化、春から夏に起きやすい電波の異常伝搬、近所の電気設備など、受信する側の事情で起きることが多い症状です。だからこそ「他のチャンネルは映るか」「ご近所も同じか」の2点を確かめるだけで、疑う場所は大きく絞れます。
この記事では、総務省の受信障害ページとソニー・パナソニック・FUNAIの公式FAQを根拠に、今日フジテレビが映らないときの切り分け方と、自分で安全に試せる順番、直らないときの相談先までを順に整理します。屋根に上ったり機器を分解したりする作業は扱いません。
・「今日フジテレビだけ映らない」が局側か自宅側かを見分ける2つの分かれ目
・特定のチャンネルだけ弱くなる仕組み(ハイトパターン・受信帯域・異常伝搬)
・再起動・ケーブル・B-CASカード・アンテナレベル確認の安全な順番
・700MHz携帯基地局やクリーン協議会など、費用をかけずに頼れる相談先
フジテレビ電波障害が今日起きたのか、画面だけでは分からない理由

局側のトラブルか自宅側か、映像からは見分けがつかない
最初の見立ては「画面の症状からは原因が分からない」という前提に立つことです。総務省東海総合通信局の受信障害Q&Aでは、「地上デジタル放送の障害は受信画面から原因を推定することは難しいため、テレビの映りが悪いときは以下を参考に、ご自分で原因を調べてみましょう。」と案内されています(総務省東海総合通信局:受信障害について)。
アナログ放送の時代は、電波が弱いと画面がザラついたり二重に映ったりして、症状から原因を推し量る余地がありました。デジタル放送は一定の品質を下回ると映像が止まるか真っ暗になるため、局側で何かあった場合も、自宅のアンテナ線が外れた場合も、見た目はほぼ同じになります。
そのため試す順番は、画面の見た目で悩むより先に「比べる」ことです。他のチャンネル、家の別のテレビ、ご近所の状況と比べれば、どこで止まっているのかが見えてきます。この比較をせずに「局の障害だろう」と待ち続けると、実はケーブルが抜けかけていただけ、ということも起こります。
「真っ暗」と「ブロックノイズ」は同じ原因の重さ違い
地デジの受信トラブルで出る症状は、大きく分けて2種類です。画面が真っ暗になり「受信できません」といった表示が出るブラックアウトと、四角いモザイク状のノイズが出たり、映像が静止したりするブロックノイズです。総務省の受信障害ページも、主な現象としてこの2つを挙げています。
原因として考えられる順番は、受信している電波の強さや品質が「ぎりぎり足りない」状態ならブロックノイズ、「まったく足りない」状態ならブラックアウト、という関係になることが多いです。つまり同じ原因でも、天候や時間帯によって症状が行き来することがあります。昼はノイズ混じりで見られたのに夜は真っ暗、という変化は、受信の余裕が少ない家でよく見られるパターンです。
自分で試すときは、症状が出た時刻と天気、どのチャンネルで出たかをメモしておくと、後で相談するときの材料になります。ブロックノイズが一時的に出て数分で戻るなら様子見でよい場合もありますが、毎日同じ時間帯に繰り返すなら、近所の設備や電波の伝わり方を疑う段階です(後半で詳しく扱います)。
「今日だけおかしい」には、時間・季節・天気の理由があることも
「昨日は映ったのに今日だけ」という症状は、機器の故障より、電波の状態が日によって変わっていることを示している場合があります。代表的なのが、上空の電離層や大気の状態によって遠くの電波が届いてしまう「異常伝搬」で、総務省近畿総合通信局のページでは春から夏、あるいは湿気の多い夏の夜などに起きやすいと説明されています。
もう一つは、日没頃から夜にかけてだけ映らなくなるパターンです。近所の老朽化した水銀灯の点滅など、夜に動き出す設備が原因になる事例も総務省が紹介しています。逆に、今日から急に映らなくなって以降ずっと戻らないなら、ケーブルの断線や接続部の外れ、ブースターの故障など、設備側の「壊れた」変化を先に疑います。
判断のコツは「戻るかどうか」です。数時間から翌日には戻り、また別の日に出るなら自然現象や近隣設備、戻らないまま続くなら自宅の受信設備。この見分けを持っておくと、慌てて買い替えや工事を考える前に、次に何を確かめるべきかが決まります。
局ごとの障害情報を一覧で見られる公的な窓口は見当たらない
「今日」の障害の有無を知りたいとき、多くの人はどこかに公式の障害一覧があると考えます。今回テレビのトリセツ編集部が確認した範囲では、総務省の受信相談ページは受信する側の切り分けと相談先を案内するもので、放送局ごとの障害発生状況を一覧で公開するページは見当たりませんでした。
そのため、局側で放送トラブルが起きていないかを確かめたい場合は、放送局の公式サイトや公式SNSのお知らせを見るのが現実的です。ただし、局側の障害であれば同じ地域の多くの家で同時に映らなくなるはずなので、ご近所や知人、SNS上で同じ地域の人が同じ症状を訴えているかが手がかりになります。
反対に、局の公式な告知もなく、周りの人は普通に見られているなら、原因は自宅か、ごく狭い範囲の受信環境にある可能性が高まります。この場合は待っていても戻らないことがあるので、次の章の切り分けに進んでください。
1局だけ?全部?ご近所は?最初に見る2つの分かれ目
他のチャンネルが映るなら、テレビ本体の故障は考えにくい
最初の分かれ目は「フジテレビ以外のチャンネルは映るか」です。関東ではフジテレビはリモコンの8番で知られていますが、地方ではフジテレビ系列の地元局が別の番号で放送しているため、ご自宅の番組表で該当する局を確認してください。チャンネル番号は地域で異なるので、「8が映らない=フジテレビが映らない」とは限りません。
他の局が普通に映っているなら、テレビのチューナーそのものが壊れている可能性は下がります。総務省関東総合通信局は、特定のチャンネルだけ受信できない場合の原因として、アンテナの高さによる受信レベル低下、受信帯域が合わないアンテナ、建造物による受信レベル低下、遅延波による品質劣化などを挙げています。いずれも「その局の電波だけが弱く届く」状況です。
一方で、全チャンネルが映らないなら、アンテナ線の外れ、B-CASカード、ブースターの電源など、家の受信経路の根元を疑います。フジテレビだけか全部かで、この先に試すことの順番が入れ替わります。
ご近所も同じなら「受信障害」、自宅だけなら設備不良を疑う
2つ目の分かれ目は、周りの家の状況です。総務省東海総合通信局の受信障害Q&Aでは、戸建てでご近所も同じ症状なら受信障害の可能性、という分岐が示されています(総務省東海総合通信局:受信障害について)。
ここでいう「受信障害」は、電波が建物に遮られたり、他の電波が混ざったりして、地域単位で映りが悪くなる状態を指します。一方、同じページでは、映りが悪くてもその原因は受信障害ではなく、アンテナやアンテナ線、テレビなど機器の故障や調整不良であることも多い、とも書かれています。自宅だけ映らないなら、まずは家の中の設備を疑うのが順番です。
ご近所に聞きにくい場合は、同じ地域の知人に連絡したり、家の中に別のテレビがあればそちらで同じチャンネルを映してみたりするのも方法です。別のテレビでも映らないならアンテナ側、別のテレビは映るなら最初のテレビ側、と絞れます。
マンション・ケーブルテレビの家は、相談先が最初から違う
集合住宅で、同じ建物の他の部屋は正常に映っているのに自室だけ映らない場合は、部屋の中の配線やテレビ側の問題が考えられます。逆に同じ建物の複数の部屋で映らないなら、共用のアンテナやブースターの不具合が疑われ、総務省は保守管理会社や施設管理者への相談を案内しています。FUNAIの公式FAQも、共用設備のアンテナを使っている場合は管理者または管理会社に問い合わせるよう案内しています。
ケーブルテレビで見ている家では、電波の受け方そのものが違います。総務省近畿総合通信局のページでも、ケーブルテレビの故障と思ったときはケーブルテレビ会社に連絡するよう案内されています。屋根のアンテナを気にする必要がない代わりに、ケーブル会社の設備側の状況が影響します。
判断のコツは「共用部分を自分でいじらない」ことです。マンションの共用ブースターや配電盤の中の機器は、入居者が触ってよい設備ではありません。自室の壁の端子からテレビまでの範囲だけを確認し、それより先は管理会社に任せましょう。
地デジは映るのにBSだけ映らないなら、別の系統を確認
フジテレビ系列はBSでも放送しているため、「フジテレビが映らない」と感じたのが実はBSのチャンネルだった、ということもあります。地デジとBS・110度CSは、アンテナもアンテナ線の入力端子も別の系統です。地デジは映るのにBSだけ映らない場合は、原因が分かれていると考えてください。
総務省関東総合通信局のBS・CS受信障害のページでは、大雨や太陽雑音で受信が途切れることがあるほか、アンテナの劣化、ケーブルや分配器の不具合が原因として挙げられています。110度CSを受信するにはS-4C-FB以上のケーブルが推奨される、という記載もあります(総務省関東総合通信局:BS及びCS放送の受信障害について)。
強い雨の最中にBSだけ映らないなら、天候の回復を待つのが先です。晴れても戻らない場合は、BSアンテナの向きやケーブルを確認する段階に進みます。地デジの切り分けとは分けて考えると、余計な作業をせずに済みます。
| 状況 | まず試すこと | 直らないときの目安 |
|---|---|---|
| フジテレビだけ映らない・自宅だけ | 再起動・ケーブル・アンテナレベルの確認 | アンテナの高さ・帯域の問題として電器店や電気工事店に相談 |
| ご近所も同じ症状 | 時間帯・天気をメモして様子を見る | 繰り返すならクリーン協議会や総合通信局へ相談 |
| 全チャンネル映らない | アンテナ線・B-CASカード・ブースター電源 | 他のテレビも映らなければアンテナ側、映るならテレビ側の点検 |
| 集合住宅・ケーブルテレビ | 自室の端子からテレビまでを確認 | 管理会社・ケーブルテレビ会社へ連絡 |
| BSだけ映らない | 雨なら天候回復を待つ・BS側の端子を確認 | 晴れても戻らなければBSアンテナ・ケーブルを点検 |
家の中で安全に試せる4つの確認は、再起動から

ケーブルやB-CASカードを抜き差しするときは、テレビの電源を切ってから行いましょう。濡れた手でプラグに触れない、コンセントの抜き差しで感電しないよう注意してください。屋根のアンテナの向き調整や、ブースター・分配器の内部を開ける作業は自分では行わず、電器店や電気工事店に相談しましょう。
まずは再起動。一時的な動作停止なら戻ることがある
最初に試すのは、テレビの再起動です。ソニーの公式サポートでは、ブラビアが突然映らなくなった原因として、テレビが一時的に動作を停止している場合や、アンテナ線が外れてアンテナレベルが低くなっている場合が挙げられています(ソニー公式サポート:ブラビアが突然映らない)。
同じページでは、リモコン右上の電源ボタンを電源が切れるまで長押しし、表示される再起動メニューで再起動を選ぶ方法と、電源を切ってコンセントからプラグを抜き、2分ほど経過してから差し直す方法が案内されています。FUNAIの公式FAQでも、アンテナレベルが推奨値以上なのにエラーが出る場合はコンセントリセットを試すよう案内されています。
他社の機種では、長押しの操作や待つ時間が異なる場合があります。手順が分からないときは、取扱説明書のリセット手順に従ってください。再起動で戻れば一時的な不具合、戻らなければ次のケーブル確認へ進みます。
アンテナ線は「抜けかけ」「折れ」「逆差し」を順に見る
再起動で戻らなければ、テレビ背面のアンテナ端子と壁の端子を確認します。総務省東海総合通信局の受信障害ページでも、最初の確認としてケーブル接続を挙げています。掃除や模様替えでテレビを動かした後は、ケーブルがわずかに抜けかけていることがあります。
ソニーの公式FAQは、アンテナ線が外れていないかに加えて、BSアンテナ線と逆につないでいないかの確認も挙げています。FUNAIの公式FAQでは、アンテナケーブルが地上デジタル入力端子に正しく接続されているか、ケーブル先端の芯が折れ曲がっていないかを確かめるよう案内されています。芯線が曲がっていると、差し込んでいるように見えて接触していないことがあります。
総務省近畿総合通信局のページによると、古いケーブルは経年劣化で高い周波数の信号が弱くなることがあり、極端な折り曲げや被覆の傷は断線やショートの原因になります。テレビの裏で強く曲げられていたり、家具の脚に踏まれていたりするケーブルは、交換を検討する目安です。分配器や壁の端子も経年劣化や施工不良で受信不良になる場合があります。
B-CASカードの抜き差しは、主電源を切ってから
全チャンネルが映らず、画面に「B-CASカードを入れてください。」「B-CASカードを読み取れません。」といった表示が出ている場合は、カードの接触不良が考えられます。フジテレビだけ映らない症状ではB-CASが原因になることは少ないものの、全局が映らないときは確認しておきたいポイントです。
総務省近畿総合通信局のページでは、テレビ本体の主電源を切ってからカードを抜き差しし、ICチップ部分を柔らかい布で拭いて戻す方法が案内されています(総務省近畿総合通信局:テレビの受信障害について)。差し直すときはカードの向きに注意してください。
ここでよくある失敗が、テレビの電源を入れたままカードを抜き差しすることです。動作中に抜くと読み取りがうまく戻らず、「やっぱり映らない」と故障を疑ってしまうことがあります。電源を切ってから作業し、改善しなければB-CASのカスタマーセンターへ問い合わせる、という順番にしましょう。最近は本体内蔵のACASチップを使う機種もあるため、カードの挿入口が見当たらない場合は取扱説明書で確認してください。

引っ越しや配線替えの後なら、チャンネルスキャンをやり直す
テレビを別の部屋に移した、アンテナ線を差し替えた、分配器を追加したといった変化の後は、チャンネル設定が今の受信状況に合っていないことがあります。総務省は最初の確認として、テレビの地域設定と受信設定を挙げています。
FUNAIの公式FAQでは、チャンネルスキャンの種類として、一戸建てなどは「通常」または「CATV対応」、マンションなどの集合アンテナは「CATV対応」を選ぶよう案内されています。集合住宅では建物の設備によって電波の送り方が変わるため、スキャンの種類が合っていないと一部の局だけ見つからないことがあります。
判断のコツは、スキャン後に「フジテレビ系列の局がチャンネル一覧に出てくるか」を確かめることです。一覧に出てくるのに映らないなら電波の強さ・品質の問題、一覧にも出てこないなら設定か受信帯域の問題、と次に疑う場所が分かれます。他社の機種では項目名が異なるので、取扱説明書の初期設定・再スキャンの項目を参照してください。
なぜ1つの局だけ弱くなる?チャンネルごとに電波が違う仕組み
ハイトパターン=アンテナの高さによって受信する電波の強さが変わる現象。UHF帯域=地デジに使われる周波数帯で、L帯域(13〜30ch)、M帯域(31〜44ch)、H帯域(45〜62ch)に区分される。マルチパス=建物や山に反射して遅れて届く電波(遅延波)が本来の電波に混ざる状態。
アンテナの高さとチャンネルの相性「ハイトパターン」
特定の局だけ映らないとき、最初に疑われる原因の一つがハイトパターンです。総務省関東総合通信局は、特定のチャンネルだけ受信できない場合の原因の一つとしてこの現象を挙げ、「チャンネルごとにハイトパターンが大きく異なり、受信レベルに差が生じると特定チャンネルが受信不良となることがあります。」と説明しています(総務省関東総合通信局:特定のチャンネルだけ受信できない)。
電波は地面からの反射と直接届く波が重なり合うため、同じ屋根の上でも数十センチの高さの違いで強さが変わることがあります。しかもその強弱の位置はチャンネルごとに違うので、ある局はよく映るのに別の局だけ弱い、という状態が生まれます。同じページには、UHFではアンテナを高くすれば受信レベルが上がるとは限らず、下げることで上がる場合もある、という記載もあります。
この調整は屋根の上での作業になるため、自分では行わず電器店や電気工事店に相談するのが安全です。自分でできるのは、次の章で扱うアンテナレベルの数字を記録しておき、どの局がどれだけ弱いかを伝えられるようにしておくことです。
アンテナが受けられる帯域から、その局が外れている
2つ目の原因は、アンテナの受信帯域です。地デジのアンテナには、UHF帯域のすべてを受けられる「全帯域用」と、一部の帯域に特化したものがあります。総務省関東総合通信局によると、UHF帯域はL帯域(13〜30ch)、M帯域(31〜44ch)、H帯域(45〜62ch)の3つに区分されています。
ここでいうチャンネル番号は、リモコンの番号ではなく、各局が実際に送信に使っている物理チャンネルのことです。お住まいの地域でフジテレビ系列の局が送信に使っている物理チャンネルが、アンテナの対応帯域から外れていると、その局だけ受信レベルが極端に低くなります。地デジ移行前から使っているアンテナを流用している家で起きやすいパターンです。
総務省のページによると、全帯域用アンテナは基本的にアンテナの先端や後部のキャップなどが黄色く塗られています。地上から見上げて確認できる範囲で目印を探すのは安全ですが、確認のために屋根に上るのはやめましょう。帯域が合っていない可能性があるなら、アンテナの交換を含めて電器店などに相談する段階です。
建物の反射で遅れて届く電波「マルチパス」
3つ目は、建物や山に反射した電波が遅れて届くマルチパスです。総務省関東総合通信局は、本来受信したい電波(希望波)と遅れて届く電波(遅延波)の比率を示すDU比が28dBに満たないと、受信障害になる場合があると説明しています。
近くに大きな建物が新しく建った、隣の空き地にマンションが建設中、といった環境の変化があった後に、特定の局だけ映りが悪くなったなら、このマルチパスや電波の遮へいを疑う理由になります。総務省東海総合通信局も、ビルなどの建造物による電波の遮へいを電波伝搬上の障害として挙げています。
この場合は、テレビ側の設定や再起動では改善しません。周辺で建物が建った時期と映らなくなった時期が重なるなら、お住まいの地域の総合通信局やクリーン協議会に相談するのが近道です。建物による受信障害は、建築主側の対策が関わる場合もあるため、時期のメモを残しておきましょう。
古いブースターや配線が一部の局だけを弱めることも
4つ目は、家の中で電波を増幅・分配する機器の不具合です。総務省東海総合通信局は、アンテナ方向のズレや素子の折損、ケーブルの断線、接続部分の接触不良と並んで、ブースターの出力調整不良または故障をアンテナ設備系の異常として挙げています。
ブースターは周波数ごとに増幅のされ方が異なる場合があり、劣化や調整のずれによって一部のチャンネルだけ信号が弱くなったり、逆に強くなりすぎたりすることがあります。ブースターには電源部があるので、自分でできる確認は、電源アダプターがコンセントから抜けていないか、ランプが点いているかを見るところまでです。
また、総務省近畿総合通信局のページでは、ブースターの経年劣化や施工不良による「発振」が近隣を含む広い範囲で特定チャンネルの受信を妨げる事例も紹介されています(次の章以降で扱います)。ブースターの交換や調整は内部の設定を伴うため、電器店や電気工事店に依頼してください。
アンテナレベルの数字で「今日の異変」を見分ける
アンテナレベルの目安はメーカーで違う
受信の強さや品質を数字で確かめられるのが、テレビのアンテナレベル表示です。総務省東海総合通信局は「多くの機種で簡易的に受信状況(アンテナレベル)を表示する機能が付いています。」と案内しています(総務省東海総合通信局:受信障害について)。
注意したいのは、目安の数値がメーカーや機種によって違うことです。パナソニックの公式FAQでは、ビエラの地デジのアンテナレベル(信号品質)の受信の目安は44以上、BS・110度CSは50以上、4Kチューナー内蔵ビエラの4K放送は54以上と案内されています。一方、FUNAIの公式FAQでは、シリーズにより20以上または24以上が推奨値とされています。
テレビのトリセツ編集部が各社の公式FAQを横断して整理した内容を下の表にまとめました。数値の記載がないメーカーは空欄を埋めず「今回確認したFAQに記載なし」としています。ご自宅のテレビの目安は、メーカーの公式FAQや取扱説明書で型番ごとに確認してください。
| 項目 | ソニー(ブラビア) | パナソニック(ビエラ) | FUNAI |
|---|---|---|---|
| 地デジのアンテナレベル目安 | 今回確認したFAQに記載なし | 44以上 | シリーズにより20以上または24以上 |
| エラー表示 | E201=レベルが低い/E202=レベルがゼロ | 今回確認したFAQに記載なし | E202(推奨値以上でも出る場合あり) |
| 公式が案内する対処 | 再起動・電源コードを抜いて2分ほど待つ・アンテナ線の確認 | 目安を下回る場合はアンテナレベルが最大になるよう向きを調整 | コンセントリセット・接続と芯の確認・チャンネルスキャン |
パナソニック機ならサブメニューから数字を確認できる
アンテナレベルの表示方法は機種によって異なります。パナソニックの公式FAQでは、品番が「TH」から始まるビエラの場合、映りの悪いチャンネルを選んでから「サブメニュー」(ない機種は「便利機能」)を押し、視聴オプションからアンテナレベルを選ぶ手順が案内されています(パナソニック公式FAQ:アンテナレベルの目安)。
確認のポイントは、映らないチャンネルを選んだ状態で数字を見ることです。アンテナレベルはチャンネルごとに表示されるので、フジテレビ系列の局と、普通に映っている他局の数字を並べて比べると、その局だけが低いのか、全体的に低いのかが分かります。パナソニックの同じFAQには、アンテナレベルの変動が大きい場合はチャンネルによっては映らないことがある、とも書かれています。
他社の機種は、設定メニューの「受信設定」や「アンテナ設定」の中に表示項目があることが多いですが、名称は機種ごとに異なります。分からない場合は取扱説明書で「アンテナレベル」の項目を探してください。
E201とE202は「弱い」と「ゼロ」の違い
画面にエラー番号が出ている場合は、その番号が手がかりになります。ソニーの公式サポートでは、E201はアンテナレベルが低く受信状態がよくない状態、そして「エラーメッセージE202が表示された場合は、アンテナレベルがゼロで信号がなく、受信ができていない状態です。」と説明されています(ソニー公式サポート:ブラビアが突然映らない)。
フジテレビ系列の局だけでE201が出ているなら、その局の電波が弱く届いている状態で、前の章のハイトパターンや帯域、マルチパスなどを疑います。全局でE202なら、アンテナ線の外れやブースターの電源切れなど、受信経路そのものが途切れている可能性が高まります。
ここで起きやすい失敗が、他社の目安を自分のテレビに当てはめてしまうことです。たとえばFUNAIのテレビで20台の数字を見て、パナソニックの「44以上」を基準に「全然足りない」と判断し、アンテナ交換を急いでしまう。目安はメーカーごとに異なるので、必ず自分のテレビのメーカーの基準と照らしてから判断しましょう。ソニーの公式サポートは、他のテレビが正常に映っている場合はテレビの故障が考えられるとも案内しており、その場合はメーカーの点検修理に進みます。

テレビの設定画面でアンテナレベルを開いてみたら、数字が思ったより低い。映像が時々止まる、チャンネルによってはブロックノイズが出る。そんなときに気になるのは「この…
実は「映っている日の数字」を控えておくのが一番の備え
意外と知られていないけれど、アンテナレベルは「映らなくなってから見る」より、「普段映っているときに見ておく」ほうが役に立つ数字です。総務省東海総合通信局の受信障害ページでも、平常時のアンテナレベルを事前に調べておくと、障害時と比較できると案内されています。
普段の数字を知っていれば、今日の数字が少し下がっただけなのか、大きく落ちているのかが分かります。平常時から一定の余裕がある家で一時的に下がっているなら、天候や異常伝搬など一時的な要因の可能性が高く、平常時から目安ぎりぎりの家なら、アンテナの高さや帯域など設備側の見直しを検討する理由になります。
やり方は、映りが良い日に主要な局のアンテナレベルをスマートフォンで撮影しておくだけです。フジテレビ系列を含む各局の数字を残しておけば、電器店などに相談するときも「普段はこの数字、今日はこの数字」と具体的に伝えられ、原因を絞り込む時間が短くなります。
天気や季節で映らない日がある?異常伝搬と近所の機器
春から夏の昼間に突然:Eスポによる混信
決まった季節に、ある日突然映らなくなり、しばらくすると戻る。この症状の背景にあることがあるのが、スポラディックE層(Eスポ)です。総務省近畿総合通信局によると、日本付近では春から夏にかけて突発的に高い周波数の電波を反射する層が形成されることがあり、遠くの地デジの電波が混信してテレビが映らなくなることがあります。
同じページでは「スポラディックE層(Eスポ)は昼間に発生することが多いのですが、夜間に発生することもあります。」と説明されています(総務省近畿総合通信局:テレビの受信障害について)。遠くの地域で同じ物理チャンネルを使っている局の電波が届くと、その局だけが妨害を受けるため、「フジテレビ系列だけ今日映らない」という見え方になることがあります。
この場合、自宅の設備に問題があるわけではないので、機器の交換は解決策になりません。時刻と天気、どの局で起きたかを記録して様子を見ましょう。毎年同じ季節に繰り返すなら、相談先に伝える材料になります。
夏の夜や日の出頃に起きやすい:ラジオダクト
Eスポと似た現象に、ラジオダクトがあります。気温や湿度の層の具合によって電波が遠くまで伝わってしまう現象で、総務省近畿総合通信局は「ラジオダクトは、湿気の多い夏の夜間又は日の出頃に多く発生します。」と説明しています(総務省近畿総合通信局:テレビの受信障害について)。
また、送信所から受信する場所までの距離が比較的長い家では、気象条件などで受信電波の強さが変化して安定受信できなくなるフェージングという現象も起きることがあります。送信所から遠い地域で、天気によって映り方が変わる家は、この影響を受けている可能性があります。
総務省近畿総合通信局は、こうした異常伝搬について「電波の異常伝搬による障害は、自然現象によるものですので、これといった対策の方法はありません。」としつつ、指向性の鋭いアンテナにしたり、他の受信可能な送信所へ向きを調整したりすると軽減できる場合がある、と案内しています。頻繁に起きて困る場合は、アンテナの見直しを電器店などに相談する判断になります。
夕方から夜だけ映らないなら、近所の水銀灯やブースターの発振
決まって日没頃から夜にかけて映らなくなるなら、近所の設備を疑う理由があります。総務省近畿総合通信局が紹介している事例では、老朽化した水銀灯の点滅が原因で、日没頃から夜間にかけて一部または全チャンネルが映らなくなり、短い間隔で繰り返すことがあるとされています。この場合は、水銀灯の管理者への連絡が案内されています。
もう一つの事例が、ブースターの発振です。自宅か近隣宅のブースターの経年劣化や施工不良が原因で、特定のチャンネルが映らなくなり、障害は広範囲(100m〜1km)に発生することが多いと説明されています。ご近所の複数の家で、同じ局だけが映らないという症状なら、この可能性も考えられます。
どちらも自宅の設備を交換しても改善しないことがあり、原因の特定には測定が必要になる場合があります。自分で近所の設備を調べて回るのではなく、症状が出る時間帯と範囲をメモしたうえで、次の章で紹介する相談先に伝えましょう。
家の電気製品が原因かは、ブレーカーとプラグで切り分ける
自宅の中の電気製品が電波を乱していることもあります。総務省東海総合通信局は、家庭用電化製品等のモーター類から発生する電波も混信障害の原因になる場合があると挙げています。
総務省近畿総合通信局のページでは、切り分け方として、映りの悪いテレビを見ながら部屋ごとのブレーカーを切る、または各電気機器の電源プラグを抜いていき、映りが良くなれば、その機器や関連している機器が原因の可能性がある、と案内されています。新しく買った家電を使い始めた日から映らなくなったなら、その家電から試すのが近道です。
注意点として、同じページでは、電源を切ると機器の設定がリセットされる場合があることと、プラグの抜き差しでの感電に注意することが挙げられています。録画中のレコーダーや、設定が消えると困る機器は後回しにし、ブレーカーを落とす前には冷蔵庫など止めると困る機器がないかも確認しましょう。
携帯基地局や近所の設備が原因なら、費用をかけずに相談できる窓口がある
2つの条件が重なる家は、700MHz帯の携帯基地局を疑う
近くに携帯電話の基地局ができてから映りが悪くなった、という場合に考えられるのが、700MHz帯の携帯電話基地局による受信障害です。700MHz利用推進協会の公式サイトによると、症状は映像の乱れや「受信できません」の表示などで、影響を受けやすいのは、屋根上アンテナを使っていて、地デジ移行前から使っている古いブースターがある家とされています(700MHz利用推進協会:テレビ受信障害対策)。
この協会はNTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルが設立したもので、現地での診断と、必要に応じてフィルターの設置やブースターの交換といった対策を行います。公式サイトでは、この対策で費用を請求することはないと明記されています。
注意したいのは、協会を名乗る訪問や電話には、公式サイトに掲載された窓口で確認を取ることです。フジテレビ固有の障害ではありませんが、特定のチャンネルだけ映りが悪いという症状と重なることがあるので、条件に当てはまる家は公式サイトの窓口に問い合わせてみましょう。

原因が分からない受信障害は、地域のクリーン協議会へ
ご近所でも同じ症状が出ている、夜だけ繰り返す、家電を止めても改善しないなど、自分では原因がたどれないときの相談先がクリーン協議会です。地域ごとに設けられた団体で、テレビの受信障害の相談を受け付けています。
全国の窓口をまとめたクリーン協議会の案内ページでは、「受信障害かな? と思われた場合は、お住まいの地域のクリーン協議会にご相談ください。」と案内されています(クリーン協議会:テレビの受信障害)。総務省近畿総合通信局のページでも、原因が分からない場合の相談先として紹介されています。
相談するときは、症状が出た日時、天気、映らない局、ご近所の状況、普段と症状時のアンテナレベルを伝えられるようにしておくと、話が早く進みます。ここまでの章で残したメモが、そのまま相談の材料になります。
総合通信局・管理会社・メーカー、それぞれ頼る場面が違う
相談先は、原因の場所によって変わります。地域の電波環境に関わる受信障害は各地の総合通信局が相談を受け付けており、近畿総合通信局のように受信相談の窓口を設けているところもあります(総務省近畿総合通信局:テレビの受信障害について)。管轄は地域ごとに分かれているので、お住まいの地域を担当する総合通信局を確認してください。
集合住宅の共用設備なら管理会社、ケーブルテレビならケーブルテレビ会社、B-CASカードの不具合ならB-CASのカスタマーセンター、他のテレビは映るのに特定のテレビだけ映らないならそのテレビのメーカーの点検修理、というように振り分けます。アンテナの向きや高さの調整は、総務省のページでも専門の知識や技能が必要とされ、電器店や電気工事店への相談が勧められています。
ここで起きやすい失敗が、原因を切り分けないままアンテナの交換を決めてしまうことです。近所の設備や異常伝搬が原因なら、アンテナを替えても同じ症状が続くことがあります。先に相談窓口で原因の見当をつけてから、設備の見直しに進むほうが無駄がありません。
住まい別に見る、今日できる最初の一手
最後に、住まいのタイプ別に最初の一手を整理します。戸建てで屋根上アンテナの家は、まずフジテレビ系列と他局のアンテナレベルを比べ、ご近所の状況を確認します。他局は普通でその局だけ低いならハイトパターンや帯域、古いブースターがあるなら700MHzの影響も視野に入れます。
マンションやアパートの家は、自室の壁の端子からテレビまでのケーブルとチャンネルスキャンの種類を確認し、同じ建物の人も映らないなら管理会社へ連絡します。共用設備は自分で触らないのが原則です。ケーブルテレビの家は、テレビ側の再起動と配線を確認したうえで、改善しなければケーブルテレビ会社に連絡します。
テレビが古く、他のテレビでは映るのにそのテレビだけ映らない場合は、修理か買い替えかの判断になります。その場合は、メーカーの点検修理の窓口で型名を伝えて相談し、修理できるかどうかを確認してから考えるのが順番です。
フジテレビ系列だけ映らず、他局とご近所は普通なら自宅のアンテナ・配線側。ご近所も同じなら受信障害として相談先へ。屋根上アンテナと古いブースターがある家は700MHz帯の基地局の影響も考えられます。
まとめ
今日できる最初の一歩は、フジテレビ系列と普段映っている他の局のアンテナレベルを並べて見ることです。その数字と、ご近所が同じ症状かどうかの2つが分かれば、待つべきか、配線を見直すべきか、相談窓口に連絡すべきかが決まります。
※最新の受信相談の窓口や対処方法は、総務省・各メーカーの公式サポートでご確認ください。

コメント