昨日まで普通に映っていたテレビが、今日になって急にモザイクだらけになった。あるいは「受信できません」と表示されて真っ黒のまま。こういうとき最初に気になるのは、「今日どこかで電波障害が起きているのか、それとも自分の家のテレビやアンテナが壊れたのか」という点ではないでしょうか。
先に結論をお伝えすると、今日起きている障害を地域別にまとめて公開している公的な一次情報は、テレビのトリセツ編集部が調べた範囲では見当たりませんでした。そのため「障害情報を探し回る」より、全チャンネルか一部だけか、家の他のテレビにも出ているか、BSだけか地デジもか、という3つの問いで自宅側か外側かを切り分けるほうが早く答えにたどり着けます。総務省の案内でも、受信障害はアンテナやケーブル、接続部といった自宅の受信設備が原因になっていることが多いと整理されています。
この記事では、雨や雪・異常伝搬・送信所のメンテナンスといった「今日だけ」起こりうる外部要因、2024年11月以降に案内が増えた700MHz帯の携帯電話基地局による障害と無料の対策、自分で安全に試せる順番、メーカーごとに違う受信レベルの目安の読み方、そして直らないときの相談先までを、メーカー公式サポートと総務省の情報をもとに整理します。
・今日の映りの悪さが「自宅側」か「外側」かを見分ける3つの問い
・雨・雪・異常伝搬・700MHz帯など、日によって起きる外部要因と待つべきケース
・再起動→配線→アンテナレベル→再設定の、安全な順に試す手順
・メーカーで違う受信レベルの目安と、直らないときの住まい別の相談先
テレビの電波障害は今日だけ?3つの問いで「自宅か外か」を分ける

全チャンネルか一部だけかで、疑う場所が半分に絞れる
最初の見立ては、「映らない(乱れる)のが全チャンネルか、一部のチャンネルだけか」です。全チャンネルが同時に映らないなら自宅の配線やアンテナ側、一部だけなら放送側や電波の届き方の問題を疑うのが近道になります。
理由は単純で、地デジの電波は1本のアンテナ線でまとめて家に入ってくるからです。ケーブルが抜けた、ブースターの電源が切れた、アンテナの向きがずれたといった自宅側のトラブルは、すべてのチャンネルに同時に影響が出やすくなります。一方、特定の局だけが乱れる場合は、その局の送信所のトラブルやメンテナンス、遠くの電波が混ざる異常伝搬など、家の外の事情が関わっている可能性があります。
試す順番は、リモコンで地デジのチャンネルを1つずつ切り替えて、どれが映りどれが映らないかを確認すること。次にBSにも切り替えて同じように見てみます。紙にメモしておくと、あとで相談するときにそのまま伝えられます。
判断のコツは「一部だけ」の場合に慌てないことです。時間をおいて改善することもあるため、まずは数時間〜翌日に同じチャンネルでもう一度確認し、放送局の公式サイトに障害やメンテナンスのお知らせが出ていないかも見ておきましょう。
家の他のテレビ・近所・マンションの掲示で範囲を広げる
2つ目の問いは「ほかのテレビでも同じ症状が出ているか」です。家に2台以上あるなら、別の部屋のテレビも同じチャンネルで確認してください。1台だけ映らないなら、そのテレビの配線や本体の設定、またはその部屋までの分配の問題が考えられます。
総務省関東総合通信局の受信障害の見分け方では、「ブースター使用時に受信に問題がある場合、ブースター出力で必要な受信レベルが確保できず、他の受信機に受信障害が生じることがある」と説明されています。つまり、ブースターで電波を増幅して複数の部屋に分けている家では、ある部屋だけ映りが悪いということが起こりえます。
家の中で全台が同じ症状なら、次は範囲を外に広げます。集合住宅ならエレベーターや掲示板に共同受信設備の点検・工事の告知が出ていないか、近所の家でも同じ症状が出ていないかを確認します。戸建てでも、近隣の方に一声かけるだけで「うちも映らない」とわかれば、自宅単独の故障である可能性は下がります。
注意点として、マンションの共同受信設備は個人で触る場所ではありません。総務省東海総合通信局も、集合住宅の共同受信施設については管理者に連絡するよう案内しています。
画面のエラー表示E201・E202・E203は何を伝えている?
3つ目の手がかりは、画面に出るエラー表示です。表示の意味がわかると、「電波が弱い」のか「電波がまったく来ていない」のか「そもそも放送していない」のかが区別できます。
ソニーの公式サポート(地デジが映らないときの対処)では、E201を「アンテナレベルが低く、受信状態がよくない状態」、E202を「アンテナレベルがゼロで信号がなく、受信ができていない状態」と説明しています。E201なら電波は届いているが弱い、E202なら届いていない、という違いです。E203は、深夜や早朝などそのチャンネルが放送休止中であることを示す表示として案内されています。
試す順番としては、E203ならまず時間帯を確認して放送再開を待つ。E201なら天候やアンテナの向き、ブースターの状態を疑う。E202ならケーブルの抜けや接続の誤り、ブースターの電源切れといった「信号が途切れる」原因から確認していきます。
判断のコツは、表示が全チャンネルに出ているのか、一部のチャンネルだけなのかを合わせて見ることです。全チャンネルでE202が出ていれば自宅側のトラブルの可能性が高まり、一部だけならその局の放送状況を疑う余地が残ります。

チャンネルを替えたら、画面に「E203」の表示が出た。故障なのか、アンテナが壊れたのか。見慣れない番号が出ると身構えてしまいます。ただ、この番号はテレビの不具合…
| 状況 | まず試すこと | 直らないときの目安 |
|---|---|---|
| 全チャンネル・全テレビで映らない | ケーブルの抜け・ブースター電源の確認、テレビの再起動 | 自宅設備の不具合を疑い、電器店・アンテナ設置業者・メーカーに相談 |
| 一部のチャンネルだけ乱れる | 時間をおいて再確認、放送局の公式サイトでお知らせを確認 | 続くなら異常伝搬や700MHz帯の影響も視野に入れる |
| 雨・雪の日にBS・CSだけ止まる | 天候が回復するまで待つ | 晴れても戻らなければアンテナ電源供給と配線を確認 |
| 家の中で1台だけ映らない | そのテレビの配線・再起動・設定 | ブースター出力不足・分配の問題の可能性 |
| マンション全体で映らない | 管理会社・管理組合に連絡 | 共同受信設備の管理者が対応する範囲 |
受信障害=テレビが正常に映らない状態の総称。総務省の案内ではアンテナやケーブルの不具合、周辺機器からの干渉なども含めて扱われます。
ブロックノイズ=画面の一部が四角いモザイク状に崩れる症状。
ブラックアウト=映像がまったく映らない状態。
アンテナレベル(受信強度)=テレビが受け取っている電波の状態を示す数値。目安はメーカーごとに異なります。
今日だけ映りが悪いとき、家の外で起きていること4つ
雨・雪・雷の日にBSだけ止まるのは衛星放送の性質
BSや110度CSだけが映らず、地デジは普通に見られる。しかも外は強い雨や雪。この組み合わせなら、テレビの故障より天候の影響を先に疑うのが自然です。
パナソニックの取扱説明書(衛星放送の受信についての説明)には、「衛星デジタル放送は、雨や雷、雪などに弱く、一時的に映像や音声が止まったり、全く受信できなくなったりすることがあります。」と書かれています。さらに総務省関東総合通信局のBS・110度CS放送の受信障害のページでは、「BS・110度CS、アンテナの周辺(落葉樹など)での降雨の場合、受信状態が悪くなることがあります」とされ、アンテナ近くの樹木が揺れて向きが変わることもブロックノイズや受信不能の原因になりうると説明されています。
試す順番は、まず天候が回復するまで待つこと。雨が上がっても戻らない場合に初めて、アンテナ線の接続、BSアンテナへの電源供給設定、ケーブルの劣化を確認します。
失敗パターン①:雨の夜にBSが映らず、焦ってテレビのチャンネル設定を初期化してしまい、地デジの設定までやり直す羽目になるケースです。原因は「BSだけ」「天気が悪い」という2つの手がかりを見落としたこと。対策は、BSだけの不調なら設定には触らず、晴れるまで待ってから判断することです。
春から秋に遠くの局が混ざる「異常伝搬」
普段は問題ないのに、特定の季節や日に限って一部のチャンネルが乱れる。この場合は、遠くの放送局の電波が届いて混信する「異常伝搬」の可能性があります。
総務省近畿総合通信局のテレビ受信の案内では、スポラディックE層について「約100km離れた地域の電波が反射し、混信を引き起こす現象」と説明しています。また、受信電波が複数の経路で届いて強さが変動するフェージングも挙げられ、こうした現象は春から秋頃の自然現象として発生する場合があるとされています。関東総合通信局の見分け方のページでも、「フェージングにより受信レベルが低下し、受信不可となる場合がある」と説明されています。
自然現象なので、自分で直す手段はほぼありません。試せるのは、乱れたチャンネルと日時をメモしておくことと、時間をおいて再確認することです。何日か続けて同じ時間帯に同じ局が乱れるなら、メモをもとに総合通信局へ相談する材料になります。
判断のコツは、全チャンネルが同時に映らない場合は異常伝搬より自宅設備を先に疑うことです。異常伝搬は一部の局だけに出やすく、天気や時間で現れたり消えたりする傾向があります。
送信所のトラブル・メンテナンスと深夜早朝の放送休止
特定の局だけが映らず、ほかの局は普通に映る。そんなときは、放送局側の事情を疑ってみる価値があります。
地上デジタル放送は、各地の放送局や中継局(送信所)から送信されています。送信所でトラブルやメンテナンスがあれば、その局だけ、その地域だけ映らないということが起こりえます。また深夜や早朝は放送を休止しているチャンネルがあり、その場合はE203のような放送休止を示す表示が出ます。
試す順番は、まず時刻を確認すること。深夜・早朝ならしばらく待ちます。日中なら、映らない局の公式サイトに障害やメンテナンスのお知らせが出ていないかを確認します。同じ地域の家族や知人に同じ局が映るかを聞くのも有効です。
注意点として、放送局側の障害を確認できる場所は各局の公式サイトであり、全国の障害を一覧できる公的なページは今回の調査では確認できませんでした。SNSの「映らない」という投稿は参考になりますが、地域や受信方法(アンテナかケーブルテレビか)が違うことも多いので、そのまま自宅に当てはめないようにしましょう。
台風・地震・強風のあとはアンテナのズレを疑う
台風が通過した翌日や地震のあとに急に映らなくなったなら、屋外のアンテナが動いた可能性を考えます。
シャープの台風・地震後の受信についての案内では、受信障害の原因として「アンテナの向きや屋根の瓦のズレ、アンテナを固定するワイヤーが外れる」ことが挙げられています。ソニーの公式サポートも、ケーブルや設定を確認しても改善しない場合は、台風などによるアンテナ損傷や機器不具合の可能性があるとして、電器店やアンテナ設置業者への相談、または修理依頼を案内しています。
家の中で試せるのは、ケーブルの抜け・緩みの確認、テレビの再起動、アンテナレベルの確認までです。地上から見てアンテナが傾いている、ワイヤーが垂れ下がっているといった様子があれば、それ以上は自分で対処しないでください。
判断のコツは「屋根の上は見るだけ」。強風のあとの屋根は滑りやすく、アンテナは電線に近い位置にあることもあります。屋根に登っての調整や固定は、電器店やアンテナ設置業者に任せるのが安全です。
2024年11月以降は携帯基地局の電波も原因に?700MHz帯の受信障害

ブロック状のモザイクや「受信できません」が出る仕組み
天候も時間帯も関係なく、ある時期から急に地デジにモザイクが出るようになった。この場合は、携帯電話の基地局から出る700MHz帯の電波の影響も候補に入ります。
700MHzテレビ受信障害対策の公式サイトによると、症状は映像が四角いブロック状のモザイクになる、または画面が黒くなり「受信できません」などのエラーが出るというものです。背景として、携帯電話用の700MHz帯が地デジの53ch~62chの周波数帯と隣り合っていることが挙げられており、旧型のテレビブースターが影響を受けやすいとされています。
ひたちなか市の案内でも、2024年11月21日以降、新しい電波の利用によって地上デジタルテレビに受信障害が起こる可能性があると周知されています。「昨日まで映っていたのに」という症状が、近くの基地局の運用開始と重なっていることもありえるわけです。
判断のコツは、症状がこれまでの章で見た天候や時間帯と連動していないかどうか。雨でも晴れでも同じように乱れ、ブースターを使っている家なら、700MHz帯の影響を疑って公式の窓口に相談する価値があります。
対策の対象になる家・ならない家
700MHz帯による受信障害の対策は、すべての家が対象になるわけではありません。対象条件を知っておくと、相談すべきかどうかの判断が早くなります。
ひたちなか市の案内では、対象の条件として、テレビアンテナと旧型ブースターを設置していること、700MHz帯を利用する地域であること、地デジをアンテナで直接受信していることが挙げられています。ケーブルテレビや光回線でテレビを見ている場合は対象外です。
自分で確認する順番は、まず自宅がアンテナ受信かケーブルテレビ・光回線かを確かめること。契約書類や、壁の端子の先がどこにつながっているかでわかることが多いです。次に、ブースターがあるかどうか。屋根裏やベランダ、テレビ周りに電源つきの小さな箱があれば、それがブースターの電源部であることがあります。
注意点として、ブースターの有無や型番がわからなくても相談はできます。わからないまま自分でブースターを外したり交換したりすると、ほかの部屋のテレビまで映らなくなることがあるので、まずは窓口に症状を伝えるところから始めましょう。
調査は15~60分、工事は30~90分という流れ
相談すると、まず原因が700MHz帯の電波なのかを調べる調査があり、影響が確認された場合に対策工事が行われる流れです。
公式サイトによると、調査の所要時間は15~60分、工事の所要時間は30~90分とされています。対策の内容は、主にフィルターの取り付け、またはブースターの交換です。実施主体は一般社団法人700MHz利用推進協会で、携帯電話事業者が費用を負担します。ひたちなか市の案内では、費用は携帯キャリア5社(NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンク、楽天モバイル)が負担し、利用者への請求はないと説明されています。
相談先は700MHzテレビ受信障害対策コールセンターで、受付は9:00~22:00(年中無休)です。フリーダイヤルとIP電話用の番号は公式サイトに掲載されているので、そこから確認してください。
判断のコツは、電話の前に「いつから」「どのチャンネルで」「どんな症状か」「ブースターの有無」をメモしておくこと。調査の段取りがスムーズになり、700MHz帯以外が原因だった場合にも次の相談先へそのまま持ち込めます。
「費用がかかる」と言う訪問は一度立ち止まる
700MHz帯の対策は無料が前提です。この点を知っておくだけで、費用を求める訪問や電話を見分けられます。
公式サイトには「対策工事を無料で実施します」と書かれており、対策工事で費用を請求することはない、物品の販売を行うこともないと明記されています。もし「携帯電波の影響なので工事代がかかる」「新しいアンテナを買う必要がある」などと言われたら、その場で契約せず、公式のコールセンターに確認してから判断してください。
試す順番は、名乗った団体名を控える、公式サイトに掲載された窓口へ自分から電話して本物か確認する、家族にも共有する、の3つ。自分から公式の番号にかけ直すのがポイントです。
注意点として、700MHz帯の対策とは別に、アンテナの老朽化など自宅設備の修理が必要になるケースはあります。その場合の費用は対策工事とは別の話なので、誰が何のために請求しているのかを落ち着いて確認しましょう。
700MHz帯の受信障害対策は携帯電話事業者の負担で行われ、利用者に費用は請求されないと公式サイトに明記されています。「工事代がかかる」「機器を買い替えて」と言われたら、その場では契約せず、公式サイトに掲載されたコールセンターへ自分から確認してください。ケーブルテレビ・光回線で視聴している家は対象外です。
自分で試す順番|安全なものから4ステップ
ケーブルを抜き差しするときは、濡れた手で触らないこと。テレビ本体の裏ぶたを開ける、屋根やベランダの手すりを越えてアンテナに触れるといった作業は行わないでください。家の中で確認できる範囲で直らなければ、電器店・アンテナ設置業者・メーカーサポートに相談するのが安全です。
ステップ1:電源の入れ直し(プラグを抜いて待つ時間はメーカーで違う)
最初に試すのは、テレビの再起動です。ソニーの公式サポートは、映らない原因の1つ目として「テレビが一時的に動作を停止している」ことを挙げています。外の電波に問題がなくても、テレビ内部の処理が止まって映らなくなっているケースがあるということです。
手順はメーカーごとに案内が少し違います。ソニーは、リモコンの電源ボタンを長押しして電源を切り、再起動メニューで「再起動」を選ぶ方法と、電源コードをコンセントから抜き2分程度経過してから差し直す方法を案内しています。シャープは台風・地震後の案内で、電源プラグを抜いて約1分待ってから再接続する方法を挙げています。FUNAIも、アンテナレベルが推奨値以上なのにE202が出る場合はコンセントリセットを試すよう案内しています。
ほかのメーカーのテレビは、取扱説明書に書かれたリセット手順に従ってください。録画機能つきのテレビは、録画中にプラグを抜くと録画が途中で止まるので、録画が終わっているかを確認してから行います。
判断のコツは、再起動で直ったら「たまたま止まっていた」と考えて様子を見ること。同じ症状が短い間隔で何度も起きる場合は、本体の不具合も視野に入れてメーカーに相談します。
ステップ2:アンテナケーブルの抜け・緩み・つなぎ間違い
再起動で直らなければ、テレビの裏と壁の端子をつなぐアンテナケーブルを確認します。全チャンネルでE202が出ているなら、ここが一番の候補です。
ソニーは、アンテナ線が差さっているか、逆接続していないか、BS用とテレビ用が正しい端子につながっているかを確認するよう案内しています。FUNAIの自己診断ページでは、ケーブルの芯が折れていないか、地上デジタルの入力端子に接続されているか、壁側・本機側に緩みがないかを確認項目に挙げています。パナソニックの取扱説明書には、アンテナ線を本機と直接接続することで改善することがある、との記載もあります。録画機や分配器を経由している場合は、一度テレビに直接つないで比べてみる価値があります。
失敗パターン②:掃除や模様替えでテレビを動かしたあと、地デジ用とBS用のケーブルを逆の端子に差し込んでしまい、「今日は電波障害かも」と待ち続けるケースです。原因は、見た目が似た端子が2つ並んでいること。対策は、端子の横に書かれた表示(地上デジタル、BS・110度CSなど)とケーブルの行き先を1本ずつ指でたどって確認することです。
判断のコツは、ケーブルの芯が曲がっていたり、端子が割れていたりしたら交換を検討すること。手元に予備がなければ、ここで一度相談先を考えます。
ステップ3:アンテナレベル(受信強度)を画面で確認する
配線に問題が見つからなければ、テレビのメニューからアンテナレベルを確認します。数値を見ると、電波が「来ていない」のか「弱い」のか「足りているのに映らない」のかが区別できます。
パナソニックは、確認したいチャンネルを選んでから[サブメニュー]ボタンを押し、メニューで「アンテナレベル」を選んで決定する手順を案内しています。機種によっては視聴中にサブメニューから「視聴オプション」を経由する場合もあります。シャープはホームからアンテナ設定へ進み、「電源・受信強度表示」で確認する手順です。
確認のコツは、映るチャンネルと映らないチャンネルの両方で数値を見比べること。シャープの公式FAQにもある通り、受信強度は選択チャンネルによって異なります。特定のチャンネルだけ数値が低いのか、全体的に低いのかで、次に疑う場所が変わります。
判断の目安になる数値はメーカーごとに違うため、次の章で整理します。数値がゼロなら配線や電源の問題、目安より少し低いならアンテナの向きや天候、目安を満たしているのに映らないなら別の原因、という読み方が基本です。

テレビの設定画面でアンテナレベルを開いてみたら、数字が思ったより低い。映像が時々止まる、チャンネルによってはブロックノイズが出る。そんなときに気になるのは「この…
ステップ4:地域設定・チャンネル設定をやり直す
ここまでで原因が見つからない場合や、アンテナレベルが目安より低い場合は、地域設定とチャンネル設定(再スキャン)をやり直します。
シャープの案内では、受信強度が60未満ならアンテナケーブルの接続を確認したうえで、地上デジタルの地域設定とチャンネル設定を再度行うよう示されています。受信強度が0の場合も、リモコンの「地上D」ボタンでチャンネルを切り替え、ケーブルが抜けていないか確認したうえで、地域設定とチャンネル設定をやり直す手順です。FUNAIでは、機種によってはアッテネーター(受信する信号を弱める設定)の入/切を変えて初期スキャンをやり直す方法も案内されています(2000シリーズは非対応)。
注意点は、チャンネル設定をやり直すと、自分で並べ替えたチャンネル順や一部の設定が初期状態に戻る機種があることです。気になる場合は、今の設定をスマートフォンで撮影してから進めると安心です。
判断のコツは、再スキャン後に映るチャンネルが増えたか減ったかを見ること。増えたなら設定の問題、変わらないなら電波そのものが届いていない可能性が高く、アンテナやブースターなど設備側の確認に進みます。
受信レベルの「合格ライン」はメーカーで違う|4社の目安を並べると
| 項目 | パナソニック | シャープ | FUNAI | ソニー |
|---|---|---|---|---|
| 地デジの目安 | 44以上 | 受信強度60以上 | 機種により20以上/24以上 | 今回確認した公式ページに数値の記載なし(E201・E202で判断) |
| BS・CSの目安 | BS・110度CSは50以上、4K放送は54以上 | 今回確認した公式ページに記載なし | 今回確認した公式ページに記載なし | 今回確認した公式ページに記載なし |
| 電源リセット | 取扱説明書の手順に従う | プラグを抜いて約1分待つ | コンセントリセット | リモコンで再起動、またはコードを抜き2分程度 |
| 改善しないとき | 販売店またはパナソニックの店舗に相談 | 別の受信障害の可能性、販売店に相談 | アンテナ調整やブースター設置などの工事が必要な可能性 | 電器店・アンテナ設置業者に相談、または修理依頼 |
パナソニックは地デジ44・BS/CS50・4K54が目安
パナソニックのテレビでアンテナレベルを見たら、地デジは44以上が1つの目安です。これを下回っていれば、電波が足りていない状態を疑います。
パナソニックの公式FAQでは、地上デジタルは44以上、BS・110度CSは50以上、4Kチューナー内蔵機の4K放送は54以上が目安として示されています。機種の取扱説明書によっては衛星放送の目安を54以上としているものもあるため、手元の機種の説明書が手に入るならそちらの数値を優先してください。
レベルが低い場合、FAQはアンテナの向きをアンテナレベルが最大になるよう調整すること、改善しない場合は販売店またはパナソニックの店舗に相談することを案内しています。ただし、屋根の上にあるアンテナの向きを自分で変えるのは危険を伴うので、向きの調整は電器店やアンテナ設置業者に任せてください。室内アンテナを使っている場合に限り、置き場所を変えて数値の変化を見るのは試しやすい方法です。
判断のコツは、目安との差を見ること。少し下回る程度なら天候や時間帯で揺れている可能性があり、大きく下回るなら配線やアンテナの不具合を疑います。
シャープは受信強度60以上、チャンネルごとに値が違う
シャープのAQUOSでは、受信強度60以上が安定して映るための条件として案内されています。数値の物差しがパナソニックとは異なる点に注意してください。
シャープの公式FAQでは、受信強度60以上が必要とされ、受信強度は選択チャンネルによって異なると説明されています。台風・地震後の案内では、60未満ならケーブル接続を確認して地域設定・チャンネル設定をやり直す、0ならケーブルの抜けや接触不良、デジタル放送の設定を確認する、という段階別の対処が示されています。
試す順番は、映らないチャンネルで受信強度を表示し、60を超えているか、0なのかを確認すること。0なら配線、60未満なら設定のやり直し、という流れで進めます。
注意点として、シャープの「60」とパナソニックの「44」は、数値の表し方そのものが違います。シャープで「44」と表示されていても、パナソニックの目安と同じ意味にはなりません。家族や知人のテレビと数値を比べるときは、メーカーが同じかどうかを先に確認しましょう。
FUNAIは機種で20以上・24以上、ソニーは表示で判断
FUNAIのテレビは、同じメーカーでも機種によって推奨アンテナレベルが異なります。目安の数字を1つだけ覚えておくと読み違える可能性があります。
FUNAIの自己診断ページでは、F560・F460・F370などのシリーズは推奨アンテナレベル20以上、5000・4100・4000などのシリーズは24以上とされています。推奨値を下回る場合は、アンテナ調整やブースター設置など専門的な工事が必要になる可能性があると案内されています。
ソニーについては、今回確認した公式ページにアンテナレベルの数値目安の記載はなく、E201(レベルが低い)とE202(レベルがゼロ)のエラー表示で状態を見分ける案内になっています。ソニーのテレビでは、まずどちらの表示が出ているかを確認し、それに応じて天候・向きを疑うか、配線・電源を疑うかを決めるとよいでしょう。
判断のコツは、型番を確認してから数値を読むこと。テレビの背面や側面のラベル、または設定メニューの本体情報で型番がわかります。
実は「数字が足りているのに映らない」ケースもある
意外と知られていないのが、アンテナレベルが目安を満たしているのに映らないケースです。数値が十分だからアンテナは大丈夫、と判断を止めてしまうと、本当の原因を見落とします。
シャープの台風・地震後の案内では、受信強度が60以上あっても映らない場合について、「別の受信障害が発生している可能性」があるとして、地域設定の確認や販売店への相談を挙げています。FUNAIも、アンテナレベルが推奨値以上なのにE202が出る場合にはコンセントリセットを試すよう案内しています。電波の量は足りていても、混信や雑音で信号の中身が乱れていたり、テレビ側の処理が止まっていたりすることがあるということです。
この場合に試す順番は、コンセントリセット、地域設定の確認、次章で扱うブースターやB-CASカード、家電の雑音の確認です。
判断のコツは、数値と症状を両方メモすること。「レベルは足りているのにブロックノイズが出る」という情報は、相談先が原因を絞り込むうえで役に立ちます。
家の中に潜む別の犯人|ブースター・BS電源・B-CAS・家電の雑音
配線と設定に問題がないのに映らない場合、家の中で疑うのは4つです。ブースターの電源と分配(1台だけ映らない)、BSアンテナへの電源供給設定(晴れてもBSだけ映らない)、B-CASカードの接触(カードのエラー表示)、周りの家電の雑音(特定の家電を使うと乱れる)。症状と照らし合わせて当てはまるものから確認しましょう。
ブースターと分配器:1台だけ映らないなら真っ先に疑う
家の中の特定の部屋のテレビだけが映らない、または設置直後から調子が悪い。この場合は、電波を増幅するブースターや、各部屋に分ける分配器が関わっている可能性があります。
総務省近畿総合通信局の案内では、設置後に映らなくなった場合はブースターの故障やフェージングが考えられること、1台だけ映らない場合はブースター出力不足・ケーブル不具合・分配の問題の可能性があることが挙げられています。受信環境クリーン協議会の案内でも、ブースターの異常発振が外部要因の例として紹介されています。
家の中で試せるのは、ブースターの電源部のコンセントが抜けていないか、電源ランプがついているかの確認です。ブースターの電源部は、テレビの近くや押し入れ、屋根裏の入り口付近にあることが多い小さな箱です。分配器を経由している部屋で映らない場合は、そのテレビにほかの部屋と同じ配線ルートで電波が来ているかも確認します。
判断のコツは、ブースターの本体が屋外や屋根裏の奥にある場合、それ以上は自分で触らないこと。古いブースターは700MHz帯の影響も受けやすいため、交換や調整はアンテナ設置業者や700MHz帯の窓口に相談しましょう。

晴れているのにBSだけ映らないならアンテナ電源供給
雨も雪もないのに、BS・110度CSだけが映らない。地デジは普通に映る。この場合は、BSアンテナへの電源供給の設定や配線を疑います。
BSアンテナは、テレビやブースターから電気を送って動かす仕組みになっているものが多く、総務省関東総合通信局の案内でも、アンテナ電源の遮断やケーブル・ブースターの故障がBS・110度CSの受信障害の原因として挙げられています。東芝REGZAの公式FAQでは、設定から「放送受信設定」→「BS・110度CSアンテナ設定」へ進み、「【衛星アンテナ電源供給】を【する】に変更」する手順が案内されています。REGZAのAndroid TV搭載機では「する」または「オート」にするよう案内されています。
同じFAQでは、分波器を使う場合は「電流通過型」が必要とされています。分波器が電流を通さないタイプだと、テレビが電源を送ってもアンテナまで届きません。
判断のコツは、REGZA以外のメーカーでも、アンテナ電源供給の項目がメニューにあるかを取扱説明書で確認すること。家族がほかの部屋のテレビで設定を変えた、BSアンテナに電源を送っていたレコーダーを外した、というタイミングで映らなくなることもあります。
B-CASカードのエラーは拭き取りと差し直しから
画面にB-CASカードに関するメッセージが出ているなら、電波ではなくカードの接触を疑います。電波障害と思い込んで待っても直らないパターンです。
ソニーのB-CASカードのメッセージについての案内では、まずカードが奥までしっかり差し込まれているか、向きが正しいかを確認し、次に「ICチップ(金色に光っている部分)を乾いた布などでやさしく拭いてください」としています。それでも映らなければテレビをリセットし、別のB-CASカードと入れ替えて確認する流れです。
カードを抜き差しするときは、テレビの電源を切ってから行います。ICチップの部分を指で直接触らないようにし、拭くときも水やアルコールは使わず乾いた布にとどめます。
判断のコツは、入れ替えテストの結果で分けること。ソニーの案内では、別のカードに入れ替えても受信できない場合はテレビの故障が考えられるとして修理申し込みを、ほかの機器のカードで受信できた場合はB-CASカスタマーセンターへの相談を案内しています。
家電や古い照明の雑音は「電源を切って見る」で切り分け
特定の時間帯や、家で何かを使っているときだけ映りが乱れる。こうした場合は、家電や照明から出る雑音がテレビに入り込んでいる可能性があります。
受信環境クリーン協議会の案内では、切り分けの方法として「映りの悪いテレビを見ながら、各電気機器の電源を切るか電源プラグを抜いてみます」と説明しています。外部要因の例として「古い水銀灯の点滅による障害」も挙げられており、自宅だけでなく近所の照明が原因になることもあります。
試す順番は、テレビの近くにある機器から1つずつ電源を切っていくこと。電源タップにまとめてつないでいる機器、照明、充電器などを順に切り、映りが戻ったタイミングの機器が候補になります。冷蔵庫など止めると困る機器は最後に回し、短時間で戻してください。
判断のコツは、原因が家の中で見つからない場合に抱え込まないこと。受信環境クリーン協議会は、原因がわからないときはお住まいの地域のクリーン協議会に相談するよう案内しています。
直らないときは誰に頼む?住まい別の相談先と判断の分かれ目
戸建てで自宅設備が怪しいとき
戸建てで、全チャンネルが映らない状態が続き、再起動・配線・再スキャンを試しても直らない。この場合は自宅の受信設備に原因がある可能性が高く、家の中でできることはここまでです。
総務省東海総合通信局の案内では、受信障害の相談先として受信設備の管理者、アンテナ設置業者または機器メーカーが挙げられています。ソニーも、改善しない場合は台風などによるアンテナ損傷や機器不具合の可能性があるとして、電器店やアンテナ設置業者への相談、または修理依頼を案内しています。
相談の前に、これまでのメモ(いつから、どのチャンネルで、どんな表示が出るか、アンテナレベルの数値、ブースターの有無、試した対処)をまとめておきます。テレビを買った販売店があるなら、まずそこに相談するのも1つの方法です。
注意点として、屋根の上のアンテナの点検や向きの調整は、自分で行わないでください。地上から見てアンテナの傾きがはっきりしている場合も、その様子を写真に撮って相談先に見せるところまでにとどめます。

マンション・アパートは共同受信の管理者へ
集合住宅に住んでいて、自室の配線と設定を確認しても映らない。この場合の連絡先は、アンテナ業者ではなく建物の管理会社や管理組合、大家さんです。
集合住宅の多くは、屋上のアンテナやブースターを建物全体で共有する共同受信の仕組みになっています。総務省東海総合通信局も、共同受信施設については管理者に連絡するよう案内しています。共用部分の設備は管理者の責任で点検・修理されるのが一般的で、入居者が勝手に業者を呼んでも作業できないことがあります。
試す順番は、自室のテレビ周りの配線とテレビの再起動を確認し、同じ建物の人にも症状が出ているかを掲示板や知り合いを通じて確かめ、管理者に連絡する、という流れです。連絡するときは、部屋番号、症状、どのチャンネルか、いつからかを伝えます。
判断のコツは、建物全体で起きているなら自分では何もしないで待つこと。自室だけなら、壁の端子からテレビまでの配線(自室側の責任範囲)に問題がないかをもう一度確認しましょう。
原因がつかめない受信障害は総合通信局・クリーン協議会へ
自宅の設備を点検してもらっても問題が見つからない、特定のチャンネルだけ続けて乱れる、家電を切っても改善しない。こうした「原因がわからない」受信障害には、公的な相談窓口があります。
総務省の各地方の総合通信局は、テレビの受信障害に関する相談を受け付けています。異常伝搬や外部の電波による混信のように、個人では原因を突き止めにくいケースが相談の対象になります。地域ごとに窓口が分かれているので、お住まいの地域を管轄する総合通信局の公式サイトから相談先を確認してください。また、受信環境クリーン協議会も、原因がわからないときの相談先として案内されています。
700MHz帯の影響が疑われる場合は、先に700MHzテレビ受信障害対策コールセンターへ相談するのが近道です。
判断のコツは、相談先を1つに決めきれなくても、症状の記録を持っていれば次の窓口に引き継げるということ。記録が細かいほど、どこに相談しても話が早く進みます。
テレビ本体の故障を疑うのはどんなとき
ここまで確認しても直らず、相談先から「電波には問題がない」と言われた場合は、テレビ本体の故障を疑う段階です。ただし、故障と判断するにはいくつかの条件が揃っているかを見ます。
目安になるのは、別のテレビやレコーダーに同じアンテナ線をつなぐと映るのに、そのテレビだけ映らない場合。B-CASカードについても、ソニーの案内では、別のカードと入れ替えても受信できない場合はテレビの故障が考えられるとして修理の申し込みを案内しています。電源ランプの点滅など、受信とは別の異常が出ている場合も本体側の可能性が高まります。
修理費用は機種や症状で異なるため、金額はメーカー公式の修理受付で型名と症状を入力して確認してください。購入した時期や保証の有無も、修理か買い替えかの判断材料になります。
判断のコツは、「今日だけ」の不調で本体の故障を結論づけないこと。天候や放送側の事情で起きている障害なら、翌日には何事もなかったように戻ることもあります。
| 状況 | 相談先 | 伝えること |
|---|---|---|
| 戸建てで全チャンネル映らない | 電器店・アンテナ設置業者・メーカー | エラー表示、アンテナレベル、試した対処 |
| マンション・アパート | 管理会社・管理組合・大家さん | 部屋番号、症状、ほかの部屋の状況 |
| 旧型ブースターあり・時期を境に乱れ始めた | 700MHzテレビ受信障害対策コールセンター | いつから、どのチャンネル、受信方法 |
| 原因不明・特定局が続けて乱れる | 地域の総合通信局・受信環境クリーン協議会 | 日時とチャンネルの記録 |
| 他の機器では映るのにそのテレビだけ | メーカーの修理受付 | 型名、症状、購入時期 |
まとめ
今日テレビの映りがおかしいと感じたら、まずはリモコンで地デジとBSのチャンネルを順番に切り替え、どれが映ってどれが映らないかをメモするところから始めてください。そのメモがあれば、待つべきか、自分で配線を確かめるべきか、管理者や総合通信局、700MHz帯の窓口に相談すべきかが自然に見えてきます。屋根の上や本体の内部には手を出さず、家の中で確認できる範囲で切り分けることが、遠回りに見えて一番早い解決への道です。
※最新情報はメーカー公式サポートでご確認ください。

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