昨日まで普通に映っていた地デジが、急に真っ暗になったり、画面がモザイク状に崩れたりすると、「電波障害かな?」「テレビが壊れたのかな?」と不安になります。ただ、映らない理由は外から届く電波の妨害だけではなく、自宅のアンテナや配線、テレビ側の不具合も同じ見た目の症状になります。
結論から言うと、最初の分かれ目は「ご近所や同じ建物の人も同じ症状かどうか」です。近所も映らないなら外からの電波障害、自宅だけなら設備の不良の可能性が高まります。そのうえで、テレビのアンテナレベル表示、症状が出る時間帯、映らないチャンネルの組み合わせを見ていくと、相談先まで絞り込めます。
この記事では、総務省の総合通信局やメーカー公式サポートの情報をもとに、地デジの電波障害を症状から切り分ける順番を整理しました。夏だけ・夜だけ映らないケース、ブースターや水銀灯が原因のケース、携帯電話の700MHz帯による障害で対策工事が無料になる条件、ビル陰や集合住宅での相談先までを順に扱います。
・「受信障害」と「受信設備の不良」の違いと、近所への確認で切り分ける方法
・パナソニック・ソニー公式のアンテナレベルの目安と確認のしかた
・Eスポ・ラジオダクト・ブースター発振・水銀灯など、時間帯やチャンネルで分かる原因
・700MHz帯の無料対策の対象条件と、受信形態ごとの相談先
地デジ電波障害とは?原因は「受信障害」と「設備の不良」の2種類

総務省は「映らない」を2つの原因に分けて考えている
まず押さえておきたいのは、「電波障害」と一口に言っても、総務省の整理では原因が2系統に分かれるという点です。総務省 近畿総合通信局のデジタルテレビの受信相談ページには『デジタルテレビ放送の「受信不良」の原因には、「受信障害」と「受信設備の不良」があります。』と書かれています。
受信障害は、放送の電波そのものが外部の要因で妨げられる状態です。異常な気象条件による遠くの電波の混信、近隣のブースターから出る妨害波、新しい建物による遮蔽などがこれにあたります。一方の受信設備の不良は、自宅のアンテナの向きのずれ、ケーブルや分配器の劣化、テレビ本体の不具合など、受け取る側の問題です。
自分で試す順番としては、いきなりアンテナや機器を疑うのではなく、「外の問題か、家の中の問題か」を先に見極めるのが近道です。具体的な見極め方は次の見出しで扱います。
判断のコツは、受信障害であれば自宅のアンテナを交換しても直らないことがある、という点です。原因が外にあるのに設備へお金をかけてしまう前に、切り分けを済ませておくと無駄がありません。
画面の症状は「ブラックアウト」と「ブロックノイズ」の2つしかない
原因が2系統あるのに対して、画面に現れる症状は2つに集約されます。同じページには『「受信不良」の症状は原因にかかわらず、「ブラックアウト」又は「ブロックノイズ」になります。』とあります(出典:総務省 近畿総合通信局)。
ブラックアウトは画面が真っ暗になる状態、ブロックノイズは映像の一部が四角いモザイク状に崩れたり、静止画のように止まったりする状態です。アナログ放送のころは「砂嵐」「ゴースト」など症状から原因の見当をつけやすかったのですが、デジタル放送では電波が弱くなっても途中まではきれいに映り、ある線を下回ると急に映らなくなります。
自分で試すことは、まず症状を記録することです。真っ暗か、ブロックノイズか、どのチャンネルで出たか、全部のチャンネルか一部か、をメモしておきます。スマートフォンで画面を撮っておくと、後で相談するときに説明しやすくなります。
注意点として、画面の見た目だけで「電波障害だ」「故障だ」と決めつけないことです。同じブロックノイズでも、原因は外の電波のこともあればケーブルの接触のこともあります。見た目は手がかりの一つに留め、次の切り分けに進みましょう。
実は、デジタル放送はアナログより電波障害を受けにくい
意外と知られていないのが、地デジはもともと電波の妨害に強い方式だということです。総務省 東海総合通信局の受信障害のQ&Aページには「地上デジタル放送はアナログ放送に比べて受信障害を受けにくい伝送方式を採用しています。」と明記されており、映らない原因が機器の故障や調整不良であることも多いと案内されています。
つまり、「電波障害かも」と感じたときほど、実際には家の中の機器に原因がある可能性を残しておく必要があります。映らない原因として多いのは、アンテナケーブルの緩み、テレビやレコーダーの一時的な不具合、B-CASカードの接触不良などです。
自分で試す順番は、安全なものから「テレビの再起動」「アンテナケーブルの差し込み確認」「B-CASカードの抜き差し(主電源を切ってから)」です。どれも工具や屋外作業が要らず、数分で終わります。
判断のコツは、これらで直れば機器側の一時的な不具合、直らず近所も同じ症状なら外の電波障害、と考えることです。家の中の確認を飛ばして業者や行政に連絡すると、原因の特定に時間がかかることがあります。
受信障害=外部の要因(異常伝搬・妨害波・建物の遮蔽など)で放送の電波が妨げられる状態
受信設備の不良=アンテナ・ケーブル・分配器・テレビなど受信する側の不具合や調整不良
ブラックアウト=画面が真っ暗になる症状
ブロックノイズ=ブロック状のノイズや静止画面になる症状
最初に確かめたいのは「自宅だけか、近所もか」
ご近所も同じ症状なら、外からの電波障害の可能性が高まる
切り分けの第一歩は、ご近所に同じ症状が出ているかを確かめることです。総務省 東海総合通信局の受信障害のフローチャートでは、戸建の場合、ご近所も同じ症状なら受信障害の可能性があり、そうでなければアンテナや配線の故障・調整不良の可能性がある、という順番で整理されています。
理由はシンプルで、気象による混信や近くのブースターの妨害波、送信側の問題は、一定の範囲の家にまとめて影響が出るからです。逆に、自宅のケーブルやアンテナの向きの問題であれば、隣の家は普通に映っています。
自分で試す順番としては、隣家や近所の知人に「今、地デジは映っていますか」「どのチャンネルが見られませんか」と聞くのが手早い方法です。直接聞きにくい場合は、地域の掲示板や自治会の連絡網で同じ話題が出ていないかを見るのも手がかりになります。
判断のコツは、近所も同じなら自宅のアンテナを触る前に様子を見るか相談窓口へ、自宅だけなら家の中の設備を順番に確認する、という分け方です。この一手間で、その後の動き方が大きく変わります。
近所も映らない → 外からの受信障害の可能性。自宅だけ映らない → アンテナ・配線・テレビなど受信設備の不良の可能性。どちらか分からないうちに、屋根に上がったりアンテナを買い替えたりするのは避けましょう。
マンション・アパートは、同じ建物の人に聞いてから管理者へ
集合住宅の場合は、戸建とは確認する相手が変わります。東海総合通信局のフローチャートでは、同じ集合住宅の方も同じ症状なら次の切り分けへ進み、そうでなければ保守管理会社もしくは施設管理者に相談する流れになっています。
集合住宅の多くは屋上の共用アンテナから各部屋へ配線しているため、共用部分の設備に問題があれば建物全体に、各部屋の壁の端子から先に問題があればその部屋だけに症状が出ます。そのため「同じ建物のほかの部屋はどうか」が、戸建の「ご近所」にあたる確認になります。
自分で試すことは、隣室や同じフロアの住人に声をかける、エントランスの掲示板に受信不良のお知らせが出ていないか見る、の2つです。あわせて、自分の部屋の壁の端子からテレビまでのケーブルの差し込みも確認しておきます。
注意点は、共用部分の設備を住人が勝手に触らないことです。近畿総合通信局のページでも、マンション、アパート、賃貸住宅等では管理会社や大家さんに連絡するよう案内されています。

家の中の何台・どのチャンネルに出ているかを見る
近所への確認と並行して、家の中での症状の出方も手がかりになります。テレビが複数台あるなら、全部に出ているか、1台だけかを確認します。チャンネルについても、全部か、特定の局だけかを見ておきます。
1台だけに症状が出るなら、そのテレビ本体か、そのテレビにつながるケーブル・端子の問題の可能性があります。全部のテレビに同じ症状が出るなら、アンテナ・ブースター・分配器など家全体に共通する設備、または外からの受信障害が疑われます。特定のチャンネルだけ映らない場合は、後で扱うブースター発振や異常伝搬の混信が候補に入ります。
自分で試す順番は、映らないテレビのアンテナケーブルを、映っているテレビの端子につなぎ替えてみることです。ケーブルを替えて映るようになれば、元のケーブルや端子が怪しいと分かります。
判断のコツは、症状の範囲が広いほど家の中の個別機器より上流(アンテナ側や外部)に原因がある、という考え方です。1台だけならテレビ本体のメーカーサポート、全部なら設備や外部の確認、と相談先を分けます。
発生した時間帯と続いた長さを記録しておく
見落とされやすいのが、症状が出た時間帯と続いた長さです。総務省 関東総合通信局の受信障害の相談案内では、相談の前に障害の症状、発生時間帯、継続時間を整理し、「ご近所のお宅でも同様の障害があるかどうか確認してください。」と案内しています。
時間帯が原因の手がかりになるのは、原因によって起きやすい時間が違うからです。たとえば水銀灯の影響は日没頃から夜間、ラジオダクトは夏の夜間や日の出頃に多いとされます。一方、時間に関係なくずっと映らないなら、設備の故障やブースター発振のような継続的な原因が候補になります。
自分で試すことは、スマートフォンのメモに「日付・時刻・映らないチャンネル・症状・何分で戻ったか」を残すことです。数日分あると、決まった時間に出るのか、不規則なのかが見えてきます。
判断のコツは、一時的にすぐ戻るなら記録を続けて様子を見る、毎日同じ時間帯に出る、または戻らないなら相談に進む、という分け方です。記録があれば、相談先でも原因の見当がつきやすくなります。
| 状況 | まず試すこと | 直らないときの目安 |
|---|---|---|
| 近所も映らない(戸建) | 時間帯・チャンネル・継続時間を記録 | 続くなら総合通信局の相談窓口へ |
| 自宅だけ映らない(戸建) | 再起動・ケーブル・B-CASカードの確認 | 電気店やアンテナ工事専門店等に点検を依頼 |
| 集合住宅で自室だけ | 壁の端子からテレビまでの配線を確認 | 管理会社や大家さんに連絡 |
| テレビ1台だけ | 別の端子・ケーブルにつなぎ替え | そのテレビのメーカーサポートへ |
アンテナレベルの数字で「電波の強さ」を確かめる

パナソニックの目安は地デジ「44以上」
テレビの多くには、受信している電波の状態を数値やバーで表示する「アンテナレベル」の機能があります。パナソニックの公式FAQには『地上デジタル放送におけるアンテナレベル(または、信号品質)の受信の目安は「44以上」です。』と書かれています。BS・110度CSデジタル放送の目安は「50以上」、4Kチューナー内蔵ビエラで4K放送を見る場合は「54以上」とされています。
この数値を下回ると、チャンネルによっては映らないことがあると案内されています。地デジとBS・CSで目安が違うので、確認する放送の種類を取り違えないようにしましょう。
確認の操作は品番で異なります。公式FAQによれば、品番がTVで始まる機種はチャンネルを選んで[サブメニュー]→「アンテナレベル」→[決定]、品番がTHで始まる機種は[サブメニュー](ない場合は[便利機能])→「視聴オプション」→「アンテナレベル」の順です。
判断のコツは、映らないチャンネルの数値が目安を下回っているかどうかです。下回っていれば電波が弱い状態、目安を上回っているのに映らなければ電波の強さ以外(テレビ側やB-CASカードなど)を疑います。数値が低い場合、公式FAQではレベルが最大になるようアンテナの向きを調整するよう案内していますが、屋根上での作業は自分では行わず、点検を依頼してください。

テレビの設定画面でアンテナレベルを開いてみたら、数字が思ったより低い。映像が時々止まる、チャンネルによってはブロックノイズが出る。そんなときに気になるのは「この…
ソニーは数値よりバーの色で見る
ソニーの公式サポート(ブルーレイレコーダーのページ)では、アンテナレベルを数値の目安ではなくバーの色で判断するよう案内しています。同ページには「青いバーが、緑の範囲まで出ているときは、アンテナレベルが良好です。赤や黄色の範囲の場合は、受信電波が弱い状態です。」とあります。
パナソニックのような「何以上」という数値は、このページには記載がありません。メーカーによって表示方法も基準の示し方も違うため、他社の数値をそのまま当てはめないことが大切です。
自分で試す際の注意として、同ページには録画中に放送受信設定に入ろうとすると「録画中はできません」と表示され、アンテナレベルを確認できない旨が書かれています。確認するときは、録画が終わっている時間帯を選びましょう。また、2023年以降のモデルは視聴中のチャンネルに限り[オプション]→[アンテナレベル確認]で確認できると案内されています。
判断のコツは、映らないチャンネルのバーが赤や黄色に留まっていれば電波が弱い、緑まで届いているのに映らなければ別の原因、と分けることです。お使いの機種の操作は、取扱説明書とあわせて確認してください。
東芝・シャープなど他社は取扱説明書の手順で
東芝(REGZA)やシャープ、ハイセンス、LGなど、ほかのメーカーのテレビにもアンテナレベルの確認機能を備えた機種は多くありますが、メニューの名前や表示のしかたは機種ごとに異なります。今回の記事ではこれらのメーカーの公式FAQを根拠として確認できていないため、具体的なボタン名や目安の数値は書きません。
メーカーが違っても共通するのは、「設定」や「初期設定」「受信設定」の中にアンテナ関連の項目があることが多い、という点です。ただし、想像で操作を進めると、チャンネル設定を誤って変えてしまうこともあります。
自分で試す順番は、まず手元の取扱説明書(紙または電子版)で「アンテナレベル」「受信強度」「信号強度」などの語を探し、その手順どおりに表示させることです。電子取扱説明書がテレビに内蔵されている機種もあります。
判断のコツは、メーカーが示す目安と比べることです。目安が書かれていない場合は、映るチャンネルと映らないチャンネルの数値の差を見るだけでも、電波の弱さが原因かどうかの見当がつきます。
| 項目 | パナソニック | ソニー | 東芝・シャープ等 |
|---|---|---|---|
| 地デジの目安 | 44以上 | 数値の記載なし(バーが緑の範囲なら良好) | 取扱説明書で確認 |
| BS・110度CSの目安 | 50以上(4K放送は54以上) | 数値の記載なし | 取扱説明書で確認 |
| 確認の操作 | [サブメニュー]→「アンテナレベル」(品番で異なる) | 放送受信設定から(2023年以降のモデルは[オプション]→[アンテナレベル確認]) | 取扱説明書の手順に従う |
| 注意点 | 目安を下回るとチャンネルによっては映らない | 録画中は確認できない | 他社の数値を当てはめない |
調子のよい日の数値を控えておくと比較できる
アンテナレベルは、映らなくなってから初めて見るより、普段の数値を知っておくほうが役に立ちます。近畿総合通信局のページでも、多くの機種に簡易的に受信状況(アンテナレベル)を表示する機能が付いており、事前に調べておくと比較の手がかりになると案内されています。
理由は、家ごとに電波の届き方が違うからです。もともと目安ぎりぎりで受信している家なら、少しの気象の変化でも映らなくなります。逆に、普段は余裕のある数値なのに急に大きく下がったなら、ケーブルの抜けやブースターの故障など、何かが変わったサインと考えられます。
自分で試すことは、問題なく映っている日に、主なチャンネルのアンテナレベルを写真に撮っておくことです。地デジだけでなく、BS・CSも見ているなら一緒に控えておきます。
判断のコツは、障害が起きたときに普段の数値と比べることです。全チャンネルで大きく下がっていればアンテナ側や配線、一部のチャンネルだけ下がっていれば混信や妨害波、ほとんど変わらないのに映らなければテレビ側、と見当をつけられます。
夜だけ・夏だけ映らないのは、天候と季節が原因のことも
春から夏の突発的な混信「Eスポ」
季節によって映らなくなる原因の代表がEスポ(スポラディックE層)です。近畿総合通信局の受信相談ページによれば、日本付近では春から夏にかけて、高い周波数の電波を反射する密度の高い層が突発的に形成されることがあり、これにより遠くの地デジの電波が混信してテレビが映らなくなることがあります。
Eスポは昼間に多いものの、夜間に起きることもあるとされます。遠方の放送局の電波が反射して届き、本来受信している電波とぶつかることで、特定のチャンネルにブロックノイズやブラックアウトが出ます。
自分で試すことは、基本的にはありません。自然現象による一時的な混信なので、テレビやアンテナを操作しても防げないことが多く、症状が出た日時とチャンネルを記録して様子を見るのが現実的です。
判断のコツは、季節(春から夏)、突発的であること、しばらくすると戻ること、の3つがそろうかどうかです。そろっていれば機器の故障ではない可能性があります。季節を問わず続く場合や、毎日同じチャンネルが映らない場合は、別の原因を疑いましょう。
夏の夜や日の出頃に多い「ラジオダクト」
もう一つの季節性の原因がラジオダクトです。近畿総合通信局のページには「ラジオダクトは、湿気の多い夏の夜間又は日の出頃に多く発生します。」とあり、遠方の地デジの電波が混信して受信不良になると説明されています(出典:総務省 近畿総合通信局)。
ラジオダクトは、大気の状態によって電波が通常より遠くまで届いてしまう現象です。普段なら届かない遠くの局の電波が入り込み、同じ周波数を使う地元の局の受信を妨げます。海に近い地域や、遠くの送信所と見通しがよい地域で起きやすいと考えられます。
自分で試すことは、Eスポと同じく記録と様子見です。「夏」「夜間または早朝」「湿度が高い日」という条件と症状の出方が重なっているかを、メモから確認します。
判断のコツは、時間帯の偏りです。夏の夜や日の出頃に限って出るなら、ラジオダクトの可能性があります。ただし、夜間だけ映らない原因には後で扱う水銀灯もあるため、季節に関係なく毎晩出るなら水銀灯の可能性も考えます。
フェージング・着雪・木の茂りも受信レベルを下げる
天候や季節の影響は、ほかにもいくつかあります。フェージングは、送信所から受信点までの距離が比較的長い場合に、気象条件などで受信電波の強さが変化し、安定して受信できなくなる現象です。
雪の多い地域では着雪も原因になります。関東総合通信局の受信障害の見分け方ページには「豪雪地帯では、デジタル放送用のアンテナに着雪することにより、受信レベルが低下することがあります。」とあり、アンテナを軒下へ移動させるなど雪が積もらない工夫で改善できる、電波が十分強い地域では平面型UHFアンテナへの取り換えも考えられる、と案内されています。また、アンテナの前方に木がある場合、草木が茂る夏場に受信レベルが下がることもあるとされています。
自分で試す順番は、まず窓から見える範囲でアンテナに雪が積もっていないか、木の枝が伸びてアンテナの前をふさいでいないかを確認することです。屋根に上がったり、はしごで雪を払ったりするのは転落の危険があるので避けてください。
判断のコツは、雪がとけたら直る、葉が落ちる季節に戻る、といった季節との連動があるかどうかです。毎年同じ時期に繰り返すなら、アンテナの設置場所の見直しを電気店などに相談する目安になります。
失敗パターン:一時的な障害なのにアンテナを買い替えてしまう
天候や季節が原因の障害でよくある失敗が、「映らない=アンテナが古い」と考えて、すぐにアンテナやブースターを買い替えてしまうことです。たとえば、夏の夜に特定のチャンネルだけ映らなくなり、翌朝には戻っていたのに、アンテナを新調してしまうケースです。
原因はEスポやラジオダクトのような異常伝搬である可能性があり、この場合は遠くの電波が混信しているだけなので、アンテナを新しくしても同じ条件がそろえばまた映らなくなります。関東総合通信局のページでも、フェージングやEスポは一時的、ブースター発振は特定チャンネルで継続という違いが示されています。
対策は、買い替えの前に数日から数週間、症状の記録をとることです。時間帯・季節・チャンネル・戻るまでの時間を残し、近所でも同じことが起きているかを確認します。普段のアンテナレベルと比べて、全体が下がっていないかも見ておきます。
判断のコツは、「一時的で、自然に戻る」なら機器の交換は急がない、「ずっと戻らない」「季節に関係なく続く」なら設備の点検を考える、という分け方です。
特定のチャンネルや夜だけ映らないなら、ブースター・水銀灯・家電を疑う
ブースター発振は100m~1kmの範囲に影響が出ることも
特定のチャンネルだけがずっと映らない場合に疑われるのが、ブースターの異常発振です。近畿総合通信局の受信相談ページには「ご自宅か近隣宅で使用されているブースターの経年劣化や施工不良により、電波の異常発振が起こり、特定のチャンネルに妨害を与えます。」とあり、障害は広範囲(100m~1km)に及ぶことが多いと説明されています。
ブースターは弱い電波を増幅する機器ですが、劣化や施工不良で自ら妨害波を出してしまうことがあります。厄介なのは、原因が自宅ではなく近所の家のブースターでも、自宅のテレビが映らなくなる点です。近所も同じチャンネルが映らない場合、この可能性が浮かびます。
自分で試すことは、まず自宅にブースターがあるかを確認することです。関東総合通信局のページでは、ブースターの電源の入り切りで妨害波が消えるかを確認する方法が紹介されています(測定器で妨害波を確認できる場合の手順)。家庭では、電源部の位置を確かめておき、点検を依頼するときに伝えられるようにしておくとよいでしょう。
判断のコツは、症状が一時的ではなく継続していることです。季節や時間帯に関係なく同じチャンネルが映らないなら、ブースター発振の可能性があります。原因が近所のブースターの場合は個人での特定が難しいため、総合通信局の相談窓口に相談するのが現実的です。

日没頃から映らなくなるなら水銀灯の可能性
夜になると映らなくなる場合、季節に関係なく毎晩起きるなら水銀灯も候補です。近畿総合通信局のページには「日没頃から夜間にかけて、一部または全チャンネルが映らなくなります。」とあり、短い間隔で繰り返すこともあると説明されています(出典:総務省 近畿総合通信局)。
水銀灯は街灯や工場、駐車場、グラウンドなどで使われてきた照明で、劣化すると妨害となる雑音を出すことがあります。点灯している時間帯に症状が出るのが特徴で、日没とともに映りが悪くなり、明け方に戻るといった出方になります。
自分で試すことは、症状が出始める時刻と、近くの街灯や照明が点く時刻が一致しているかを観察することです。近くに古い照明がないかも見ておきます。
判断のコツは、毎晩同じように起きるかどうかです。夏の夜だけならラジオダクト、季節を問わず毎晩なら水銀灯、と見分けの目安になります。公式ページでは、対策として水銀灯の交換が挙げられており、水銀灯の管理者に連絡するよう案内されています。管理者が分からない場合は、総合通信局の相談窓口で相談できます。
失敗パターン:家電の電源をいっぺんに抜いて設定が消える
家の中の電気機器が雑音を出し、テレビの受信を妨げることもあります。近畿総合通信局のページには「部屋ごとのブレーカー(配線用遮断器)を切ったり、各電気機器の電源プラグを抜いて(※)映りが良くなれば、その機器や関連している機器(接続している機器や連動している機器を含む)が原因の可能性があります。」と書かれています(出典:総務省 近畿総合通信局)。
ここでよくある失敗が、原因の家電を探そうとして、家じゅうの機器の電源プラグをまとめて抜いたり、ブレーカーを落としたりした結果、録画機の予約や時計、ネット機器の設定が初期状態に戻ってしまうことです。同じページでも、電源を入れ直すと設定がリセットされる恐れがあること、感電に注意することが添えられています。
対策は、1台ずつ順番に試すことです。テレビの近くにある機器から、1つ抜いて映りを確認し、変化がなければ戻して次へ進みます。録画中の機器や、電源を抜くと困る機器は後回しにし、濡れた手でプラグに触れないようにします。
判断のコツは、特定の機器を止めたときだけ映りが戻るかどうかです。戻れば、その機器の使い方や設置場所を見直すか、その機器のメーカーに相談します。どれを止めても変わらなければ、家電由来の可能性は低いと考えて次の確認に進みましょう。
電源プラグの抜き差しは濡れた手で行わず、1台ずつ試しましょう。電源を入れ直すと録画予約や設定が消えることがあります。屋根の上のアンテナやブースター本体の分解、屋外での高所作業は転落・感電の危険があるため行わず、電気店などに点検を依頼してください。
古いケーブル・分配器・B-CASカードの接触も見直す
外の電波障害を疑う前に、家の中の配線も見直しておきたいところです。近畿総合通信局のページには「性能が保証されていない古いケーブルでは、経年劣化により、高い周波数のテレビ信号が弱くなることがあります。」とあり、分岐器・分配器・壁面端子の劣化や不適切な接続も受信不良の原因になると説明されています。
ケーブルの劣化は、特定のチャンネルだけ映りが悪いという形で出ることもあります。また、画面に「B-CASカードを入れてください。」などの表示が出る場合は、電波ではなくカードの接触不良の可能性があります。
自分で試す順番は、テレビ背面のアンテナケーブルの差し込みを確かめ、壁の端子側も緩んでいないか見ることです。分配器を使っているなら、分配器を通さずに1本のケーブルで直接つないで変化を見るのも有効です。B-CASカードは、公式ページの案内どおり、まずテレビ本体の主電源を切ってから抜き差しします。
判断のコツは、ケーブルや接続を変えて改善すればその部品の交換で解決する可能性が高く、変わらなければ上流のアンテナやブースター、または外部要因を疑うという流れです。壁の中の配線や端子の交換は、電気店などに依頼しましょう。
携帯電話の700MHz帯が原因なら、対策工事は無料
対象になるのは「旧型ブースター」を使っている家
地デジの電波障害の中には、携帯電話の電波が原因で、無料の対策が受けられるものがあります。携帯電話事業者が設立した一般社団法人700MHz利用推進協会の公式サイトには「対策員が訪問・調査し、携帯電話の電波(700MHz帯)による受信障害が確認された場合、対策工事を無料で実施します。」と書かれています。
対象は、携帯電話が700MHz帯を利用する地域で、テレビアンテナと旧型ブースター(アナログ放送を見ていたころから使っているもの)を設置して地デジを見ている家です。旧型のブースターは地デジ以外の電波帯まで増幅してしまうため、近くの携帯電話基地局の電波も一緒に増幅し、受信に影響が出ることがあります。
自分で試すことは、自宅にブースターがあるか、それがいつごろから使われているものかを確認することです。家を建てたときから同じブースターを使っている場合は、旧型にあたる可能性があります。
判断のコツは、近くに携帯電話の基地局ができた、またはその前後から映りが悪くなった、といった時期の一致があるかです。心当たりがあれば、700MHzテレビ受信障害対策コールセンターに相談できます。連絡先と受付時間は公式サイトに掲載されています。
BS/CSだけ映らない・B-CASエラーは対象外
700MHz帯の影響と思って問い合わせる前に、対象外のケースを確認しておきましょう。公式サイトには「衛星放送(BS/CS)は700MHz帯と近接していない電波帯を利用しているため、携帯電話の700MHz帯利用による受信の影響はありません。」とあります(出典:700MHz利用推進協会)。
ほかにも、ケーブルテレビや光回線でテレビを見ている、ブースターがない、B-CASカードのエラーが表示される、テレビの電源が入らない、すでに対策作業を受けた、といった場合は700MHz帯の影響ではないと案内されています。また、テレビやアンテナの破損・故障は対策の対象外です。
自分で試す順番は、まず映らないのが地デジかBS/CSかを確認し、次に視聴方法(アンテナかケーブルテレビか光回線か)、ブースターの有無を確かめることです。この3点で、700MHz帯の可能性があるかどうかはある程度絞れます。
判断のコツは、対象外にあたるなら別の原因を探すことです。BS/CSだけ映らないなら衛星アンテナや配線、B-CASのエラーならカードの接触、と次の確認先が変わります。共聴施設に加入している場合や集合住宅の場合は、まず管理者に相談するよう案内されています。
対策はフィルター取付けか、ブースター交換
700MHz帯による受信障害が確認された場合の対策内容も、公式サイトで説明されています。基本は700MHz帯の電波をカットするフィルターの取付けで、それで対策できない場合は「710MHzまでの帯域のみを増幅するブースターに交換(フィルター取付けでは対策できない場合)」とされています(出典:700MHz利用推進協会)。
フィルターは、地デジの電波は通しつつ、携帯電話が使う700MHz帯の電波を遮る部品です。ブースターの前に入れることで、余計な電波が増幅されるのを防ぎます。フィルターで足りない場合に、地デジの帯域だけを増幅する新しいブースターへの交換が行われます。
自分で試すことはありません。むしろ、自分でフィルターを買って取り付けたり、ブースターを交換したりする前に、コールセンターへ相談するほうが筋道として自然です。無料の対策が受けられるかどうかは、対策員の調査で受信障害が確認されることが前提になっています。
判断のコツは、心当たりがあれば先に相談することです。自分で先に機器を交換してしまうと、原因が分かりにくくなるうえ、その費用は自己負担になります。
対策員を名乗る訪問はここを見る
無料の対策があることを悪用した訪問にも注意が必要です。公式サイトによれば、対策員は身分証(テレビ受信障害対策員証)を持っており、物品の販売や、ケーブルテレビ・光回線の勧誘はしないとされています。また、対策工事で費用を請求されることはないと明記されています。
つまり、「工事代がかかる」「新しいアンテナを買う必要がある」「ケーブルテレビに切り替えれば解決する」といった話をする訪問者は、正規の対策員ではない可能性があります。突然の訪問で不安をあおられた場合は、その場で契約や支払いをしないことが大切です。
自分で確かめる順番は、まず身分証の提示を求めること、次に話の内容が販売や勧誘を含んでいないかを確かめること、迷ったら一度お引き取りいただき、公式サイトに掲載されたコールセンターに自分から問い合わせて確認することです。
判断のコツは、お金の話が出たら立ち止まることです。正規の対策であれば費用はかからない、という一点を覚えておくだけで、多くの勧誘は見分けられます。
| 状況 | 700MHz帯の影響 | 次に取る行動 |
|---|---|---|
| アンテナ+旧型ブースターで地デジを視聴 | 影響を受ける可能性あり | 対策コールセンターに相談(無料対策の対象になり得る) |
| BS/CSだけ映らない | 影響なし | 衛星アンテナや配線を確認 |
| ケーブルテレビ・光回線で視聴 | 影響なし | 契約しているケーブルテレビ会社などへ |
| ブースターがない/B-CASエラー表示 | 影響なし | 配線・カードの接触・テレビ本体を確認 |
| 共聴施設に加入・集合住宅 | 管理者の確認が先 | まず施設や建物の管理者へ |
ビル陰・新しい建物・共聴施設のときは誰に相談する?
近くに建物ができてから映りが悪くなった
近所に大きな建物が建ってから映りが悪くなった、という場合は、建物による遮蔽が考えられます。関東総合通信局の受信障害の見分け方ページには「新しく建造物ができたことにより、希望波が遮蔽されて受信レベルが低下すると、潜在していたマルチパス(遅延波)の影響を受けやすくなります。」とあります。
本来受信したい電波(希望波)が建物にさえぎられて弱くなると、ほかの建物などに反射して遅れて届く電波の影響が相対的に大きくなり、ブロックノイズやブラックアウトが起きやすくなります。デジタル放送は反射波に比較的強い方式ですが、希望波が弱くなると影響を受けることがあります。
自分で試すことは、映りが悪くなり始めた時期と、建物の工事や完成の時期が重なるかを確認することです。普段のアンテナレベルの記録があれば、建物ができる前後で数値が下がったかを比べられます。
判断のコツは、時期の一致と、周辺の家にも同じ症状が出ているかです。関東総合通信局のページでは、こうした場合は「建造物の所有者または管理会社にご相談ください。」と案内されています。
ビル陰の共聴施設は、対応や費用負担を当事者で協議する
ビルの陰になる地域では、ビル側が受信障害対策として共同受信施設(共聴施設)を設けていることがあります。総務省の受信障害対策共聴施設のページでは、受信障害の原因者(施設管理者等)が調査し、障害の解消が確認されれば、個別受信への移行や施設の廃止が決まることがあり、その場合、利用者は自己負担等でUHFアンテナの設置やケーブルテレビ等への移行を行う必要がある、と説明されています。
一方、デジタル放送でも受信障害が続く場合は、施設の改修やケーブルテレビへの移行などが考えられ、施設管理者等と利用者が協議して対応方法や費用負担等を決める必要があるとされています。同じページには「当事者間の契約が存在する場合や合意形成が成立した場合は、その合意内容が優先されます。」とも書かれています。
自分で試す順番は、まず自宅が共聴施設を利用しているかを確認し、施設管理者からのお知らせや過去の契約書類が手元にないかを探すことです。
判断のコツは、費用負担の話は当事者間の協議や合意が軸になるという点です。自分だけで判断せず、施設管理者に現状を伝えて相談しましょう。
受信のしかたで相談先は3つに分かれる
相談先は、テレビをどのように受信しているかで変わります。近畿総合通信局のページでは、受信形態を個別受信、共同アンテナ(共同受信設備)、ケーブルテレビの3つに分けて相談先を案内しています。
自宅の屋根やベランダに自分のアンテナを立てている個別受信なら、電気店やアンテナ工事専門店等に点検を依頼します。共同アンテナの場合は「共同アンテナの故障かな?と思ったときは、共同アンテナの管理者に連絡してください。」とされ、マンション等では管理会社や大家さんが窓口です(出典:総務省 近畿総合通信局)。ケーブルテレビなら契約しているケーブルテレビ会社に連絡し、連絡先は領収証等で確認できます。
そのうえで、近所でも同じ症状が出ていて原因が外にありそうなとき、たとえばブースター発振や水銀灯の管理者が分からないときなどは、地域を管轄する総合通信局の受信障害相談窓口に相談できます。連絡先と受付時間は各総合通信局のページに掲載されています。
判断のコツは、まず自分の受信形態の窓口に相談し、外部要因が疑われるときに総合通信局へ、という順番です。
| 受信のしかた | 最初の相談先 | 伝えるとよいこと |
|---|---|---|
| 個別受信(自宅のアンテナ) | 電気店、アンテナ工事専門店等 | 症状・チャンネル・アンテナレベル・ブースターの有無 |
| 共同アンテナ(マンション等) | 共同アンテナの管理者、管理会社や大家さん | 同じ建物のほかの部屋の状況 |
| ケーブルテレビ | 契約しているケーブルテレビ会社 | 症状と発生した日時 |
| 外部要因が疑われる | 地域の総合通信局の受信障害相談窓口 | 症状・発生時間帯・継続時間・ご近所の状況 |
住まい別の動き方:戸建・マンション・雪国・ビル陰
同じ地デジの電波障害でも、住まいによって最初の一歩は変わります。ここまでの内容を、読者のタイプ別に整理しておきます。
戸建で自分のアンテナを使っている人は、近所への確認→テレビの再起動とケーブル確認→アンテナレベルの確認の順に進め、近所も同じなら記録をとって総合通信局へ、自宅だけなら電気店などに点検を依頼します。旧型ブースターを使っていて、近くに携帯電話の基地局ができた心当たりがあるなら、700MHz帯の対策コールセンターも選択肢です。
マンション・アパートの人は、同じ建物の住人への確認が最優先です。建物全体なら管理会社や大家さん、自分の部屋だけなら壁の端子からテレビまでの配線を確認し、それでも直らなければ管理者に相談します。共用部の設備は触りません。
雪の多い地域の人は、冬場の受信レベルの低下が着雪によるものかを、雪の量と映りの関係から見ます。ビル陰の地域や共聴施設を利用している人は、施設管理者への連絡と、手元の契約書類の確認から始めましょう。どのタイプでも、症状の記録があると相談がスムーズになります。
まとめ:地デジの電波障害は「外か内か」の切り分けから
映らなくなったら、まずは隣の家や同じ建物の人に「今、地デジは映っていますか」と一声かけてみてください。そのうえでテレビを再起動し、アンテナレベルの数値とスマートフォンでの症状のメモを残しておけば、様子を見るべきか、管理者や電気店、総合通信局に相談すべきかが落ち着いて判断できます。
※最新情報はメーカー公式サポート・総務省の各総合通信局のページでご確認ください。

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