テレビの裏でもアンテナ端子の近くでもない、部屋の隅の壁際にある小さな箱。コンセントにつながっていて、緑のランプがついている。これが何なのか分からないまま、掃除のついでにプラグを抜いたらテレビが映らなくなった、という流れで「ブースターの電源」を調べる人は少なくありません。
先に結論をお伝えすると、その箱は屋根の上や天井裏にあるブースター本体へ電気を送っている「ブースター電源部」である可能性が高く、抜くと地デジやBS・CSが映らなくなることがあります。一方で、雷が近いときや長く家を空けるときは、メーカーの取扱説明書でもプラグを抜くよう案内されています。つまり「抜いてはいけない箱」ではなく、「抜くと映らなくなる仕組みを知ったうえで扱う箱」です。
この記事では、電源部の見分け方から、ランプの色で分かる状態、分配器やテレビ側の設定が原因で電気が届かないケース、壊れたときの交換の考え方までを、マスプロ電工・日本アンテナ・DXアンテナ・サン電子の公式資料と、ソニー・パナソニック・シャープのテレビ側の公式FAQをもとに、順番に整理します。屋根に上る作業や分解は扱わず、室内でできる確認に絞っています。
・部屋のどこかにある「ブースターの電源」の見分け方と役割
・電源部のランプ(緑・赤)の組み合わせで分かる4つの状態
・電源部は正常なのに映らないときに疑う分配器・テレビ端子・テレビ側の設定
・電源部が壊れたときに交換・修理・相談のどれを選ぶかの目安
ブースターの電源はどこにある?室内の小箱を見分ける4つの手がかり

ブースターの電源を探すときに最初につまずくのは、「ブースター」と「ブースターの電源」が別の場所にあることです。戸建ての多くでは、電波を増幅する本体は屋外や天井裏に、電気を送る電源部は室内に置かれています。まずは仕組みを押さえると、家のどこを探せばよいかが見えてきます。
屋根の上の本体と室内の電源部はアンテナ線1本でつながっている
結論から言うと、家庭用ブースターの多くは「本体(増幅部)」と「電源部」が分かれた電源分離型で、両者はテレビ用のアンテナ線(同軸ケーブル)1本でつながっています。
日本アンテナの公式解説では、ブースター増幅部を動かすために、ブースター電源部から電気(DC15V)を送る必要があると説明されています(日本アンテナ「ブースターの特徴と使い方」)。テレビの電波が流れているのと同じ線に、直流の電気を重ねて屋外の本体へ送る方式です。増幅部はアンテナの近くに置くほど効果を出しやすいため、屋根の上のマストや天井裏に取り付けられることが多く、そこにはコンセントがありません。だから電気だけを室内から線に乗せて届けているわけです。
自分で確かめる順番は、まずテレビの裏からアンテナ線をたどり、壁のテレビ端子を確認します。次に、家の中でコンセントにつながっているのにテレビと直接つながっていない小箱がないかを探します。リビング以外の部屋、階段下、押し入れの近く、2階の部屋の壁際などに置かれていることもあります。
見つからない場合は、ブースター自体が付いていない家である可能性もあります。電波の強い地域では増幅が不要なこともあるため、無理に探し回る前に、テレビのアンテナレベル表示で受信状態を見ておくと判断の材料になります。
増幅部=アンテナで受けた電波を強くする本体。屋外や天井裏に付くことが多い。
電源部=家庭のコンセント(AC100V)から直流の電気を作り、アンテナ線を通して増幅部に送る室内の箱。
電源分離型=増幅部と電源部が別々になっているブースター。家庭用の主流の形。
電流通過型(通電型)=電気を通す分配器やテレビ端子。電源部と増幅部の間には、これが必要になる。
テレビとつながっていない箱なら電源部の可能性が高い
見分けのいちばんの決め手は「どこにつながっているか」です。マスプロ電工の公式サポートページでは、その機器がテレビやレコーダーとケーブルでつながっておらず、壁面のテレビ端子としかつながっていない場合は電源部の可能性がある、と案内されています(マスプロ電工「ブースターのご購入をご検討中のお客様へ」)。
よくあるのは、テレビのない部屋の壁端子に小箱が1つだけつながり、コンセントに挿さっている配置です。電源部は電気を「送り込む」役目なので、テレビの近くにある必要がなく、配線の都合のよい部屋に置かれます。そのため、いつも使っている部屋とは違う場所で見つかることが少なくありません。
確かめる順番は、箱の表示や型番のシールを見る、つながっているケーブルの本数を数える、ランプの有無を見る、の3つです。「電源部」「POWER SUPPLY」「DC15V」などの表示があれば、ほぼ間違いなく電源部です。型番が読めたら、メーカー名と型番で公式サイトを検索すると取扱説明書が見つかることもあります。
注意したいのは、箱を見つけても中を開けたり、線を切ったりしないことです。確認は外から見える表示とランプだけで十分です。
卓上型ブースターと電源部は形が似ていても別物
もう1つ混同しやすいのが、テレビのそばに置く「卓上型ブースター」です。見た目が似ていても役割は違います。
日本アンテナの公式解説では、電源部と増幅部が一体になったものを卓上型ブースターと呼び、電源分離型の電源部と形状が似ている場合があるが、卓上型ブースターは電源部として使えない、と注意書きがあります。マスプロ電工の取扱説明書(UBCB35/UBCB41)にも、電源部は卓上ブースターではない旨が記載されています。
見分ける順番は、入力と出力の端子があってテレビへ線が伸びているか、電源部と同じ部屋にアンテナからの線が直接来ているか、を確認することです。卓上型はテレビの手前で信号を増やすので、テレビへの線が必ず出ています。電源部はテレビへの線がないのが普通です。
判断のコツとして、電源部が壊れたときに「家にある卓上型で代わりにしよう」と考えるのは避けてください。屋外の増幅部には電気が届かず、映らない状態は変わりません。
電源部がない家では、テレビやチューナーが電気を送っていることも
電源部が見当たらないのにブースターが付いている家もあります。その場合は、テレビやレコーダーが電気を送る側になっている可能性があります。
日本アンテナの解説でも、電源部がない機種はチューナーなどから電気を送る必要があると書かれています。テレビやレコーダーには「アンテナ電源」という設定があり、BS・CSアンテナや一部の機器へ電気を送れるようになっています。この設定と電源部の関係は、後半のテレビ側の設定のセクションで詳しく扱います。
試す順番は、まず家の中に電源部らしき箱が本当にないかを確認し、なければテレビのメニューでアンテナ電源の設定がどうなっているかを見ます。マンションなど集合住宅では、建物の共用設備にブースターがあり、各住戸に電源部がないのが一般的です。
判断のコツは、集合住宅で映りが悪いときは、住戸内の機器より先に管理会社へ相談することです。共用部のブースターは住人が触れる設備ではありません。
ブースターの電源を抜くとどうなる?止めていい場面と避けたい場面
電源部を見つけると、「これは抜いても大丈夫なのか」「つけっぱなしで電気代は」「雷のときは」と疑問が続きます。答えは場面によって分かれます。
抜くと地デジもBSも映らなくなる家が多い理由
電源部のプラグを抜くと、屋外の増幅部が止まり、アンテナの電波は増幅されないままテレビへ届くか、ブースターの構造によってはほとんど届かなくなります。結果として、地デジが映らない、一部のチャンネルだけ映らない、BSが「受信できません」と表示される、といった症状が出ます。
家によって症状の出方が違うのは、ブースターがなくても受信できるだけの電波がどれだけ来ているかが違うからです。電波の強い地域では抜いても一部は映り続け、弱い地域やテレビの台数が多い家では全部映らなくなることもあります。BSとCSは衛星アンテナ自体にも電気が必要なので、電源部が衛星アンテナへの給電も担っている配線では、BS・CSが先に映らなくなります。
突然映らなくなったときに試す順番は、①電源部のプラグがコンセントに挿さっているか、②電源タップのスイッチが切れていないか、③ランプがついているか、の3つです。これで戻れば、故障ではなく電気が止まっていただけです。
エラーコードが出ている場合は、下の記事でコードごとの意味を確認しておくと、電源部の問題か、それ以外かを切り分けやすくなります。

雷が近いとき・長期不在のときは抜くのがメーカーの案内
一方で、抜いたほうがよい場面もはっきりしています。マスプロ電工の電源部の取扱説明書(BPS6WB/BPS6W)では、雷の発生が予想されるときは前もってACプラグを抜くこと、旅行などで長期間使わないときもACプラグを抜くことが案内されています。
電源部は屋外のアンテナとケーブルでつながっているため、落雷の影響を受けやすい機器の1つです。同じ説明書には、雷が鳴り出したら電源部やケーブル、プラグに触れないよう注意書きもあります。つまり、雷が近づいてから慌てて抜きに行くのではなく、予報の段階で抜いておくのが安全な順番です。
試す順番としては、雷の予報が出たら、テレビとレコーダーのプラグと一緒に電源部のプラグも抜き、アンテナ線はそのままにしておきます。雷が過ぎたら電源部から先に挿し直し、ランプの状態を確認してからテレビをつけます。
判断のコツは、抜いたことを家族に伝えておくことです。録画予約が入っている時間帯に抜いたままだと、予約が失敗します。
節電のつもりで毎晩切ると起きやすい失敗
テレビ周りの待機電力を減らそうと、スイッチ付き電源タップで夜間にまとめて切る家があります。そのタップに電源部も挿さっていると、深夜の録画予約が「電波が受信できない」状態で失敗します。レコーダー自体は動いているので、録画失敗の原因が電源部だと気づきにくいのが厄介な点です。対策:電源部はスイッチのないコンセントか、テレビ周りとは別のタップにつなぎ、録画機器と同じ扱いにしておきます。
電源部を毎晩切ることについて、今回確認したメーカーの取扱説明書には「毎日抜くように」という案内はありません。抜くよう書かれているのは、雷のとき、長期間使わないとき、移動させるとき、お手入れのとき、そして異常があるときです。
試す順番は、まず電源部がどのコンセントに挿さっているかを確認し、スイッチ付きタップや、照明と連動するコンセントでないかを見ます。録画が夜中だけ失敗する、朝いちばんに映らない、といった症状がある家は特に確認する価値があります。
判断のコツとして、録画の失敗が続いたら、失敗した時間帯に電源部が動いていたかを疑う視点を持っておくと、原因にたどり着くのが早くなります。

掃除・模様替えで動かすときも一度抜いてから
電源部の周りを掃除したり、家具の配置を変えたりするときは、先にプラグを抜くのが取扱説明書の案内です。マスプロ電工の説明書には、移動させる場合は必ずACプラグを抜くこと、お手入れは安全のためACプラグを抜いて行うことが書かれています。また、ACプラグは定期的に抜いて掃除するよう案内されています。
プラグとコンセントのすき間にほこりがたまると、湿気を吸って発熱や火災の原因になることがあります。電源部は家具の裏や部屋の隅に置かれて何年も触られないことが多いため、掃除の機会に一度プラグを抜いてほこりを払っておくと安心です。
試す順番は、①プラグを抜く、②乾いた布でプラグとコンセント周りのほこりを取る、③アンテナ線の端子(F型コネクター)がゆるんでいないか目で見る、④挿し直してランプを確認、です。
注意点は、アンテナ線の端子を強く引っ張らないことです。端子の中の芯線が曲がったり、編み線が芯線に触れたりするとショートの原因になります。
電源部のランプで分かる4つの状態と、それぞれの次の一手

電源部の多くには、状態を知らせる表示灯(ランプ)が付いています。ここではマスプロ電工のBPS6WB/BPS6Wの取扱説明書にある「異常お知らせ機能」を例に、ランプの読み方を整理します。他メーカーの機器はランプの色や意味が違うことがあるため、手元の機種の説明書で必ず照らし合わせてください。
| ランプの状態 | 説明書上の意味 | まず試すこと |
|---|---|---|
| 緑だけ点灯 | 正常 | 電源部以外(受信状態・テレビ側)を確認 |
| 緑と赤が両方点灯 | 断線(増幅部やアンテナに電源が届いていない) | 途中の分配器・テレビ端子が通電型か、線が外れていないか |
| 緑も赤も消灯 | ショート、または給電スイッチの設定違い | プラグとコンセントを確認し、端子の芯線まわりを目視 |
| 赤だけ点灯 | 過電流(出力電流が規格値0.57Aを超えている) | 電源を受ける機器が余計につながっていないか確認 |
緑だけ点灯なら電源部は正常、原因は別の場所にある
緑のランプだけがついていて赤が消えている状態は、説明書上「正常」です。電源部から増幅部へ電気は届いていると考えられます。
ここで押さえておきたいのが、同じ説明書にある次の一文です。表示灯は接続状態を表示するもので、「テレビ信号の状態を表示するものではありません」。つまり緑がついていても、テレビがきれいに映るとは限りません。アンテナの向きのずれ、ケーブルの劣化、テレビ側の設定など、電源とは関係のない原因は残っています。
試す順番は、①テレビのアンテナレベル(受信強度)を表示する、②複数のテレビで同じ症状か確かめる、③特定のチャンネルだけか全チャンネルかを確認する、です。全部のテレビで全チャンネルが映らないなら家全体の受信側、1台だけなら、そのテレビの配線や設定を疑います。
判断のコツは、緑点灯なら電源部の交換を急がないことです。電源部を買い替えても直らなかった、というのは避けたい遠回りです。
緑と赤が両方ついているのは「電気が届いていない」サイン
緑と赤が同時についている状態は、説明書では「断線」とされ、増幅部やアンテナに電源が供給されていない状態を表します。
説明書が挙げる確認項目は、F型コネクターの芯線が短くないか、電源部と増幅部の間でケーブルが断線していないか、そして両者の間に電流を通さない機器がつながっていないか、の3点です。家の中で自分で確かめられるのは、主に3つめです。途中にある分配器や壁のテレビ端子が電気を通さないタイプだと、電源部は電気を送ろうとしても先へ届きません。
試す順番は、①電源部につながっているアンテナ線が端子から外れかけていないか、②最近、分配器や壁のテレビ端子を交換・追加していないか、③家の中で見える範囲のケーブルに潰れや折れがないか、です。
意外な落とし穴として、説明書には「ケーブルをつながずにプラグを挿すと、断線と判断して緑と赤が両方つくが、本器の異常ではない」という趣旨の注記もあります。模様替え中に線を外した状態でランプを見て「壊れた」と判断しないようにしてください。
ランプが全部消えているなら、まずコンセントを疑う
緑も赤も消えている場合、説明書上はショート、またはブースター側の給電スイッチの設定違いとされています。ただし、その前にもっと単純な原因を確認します。プラグが抜けている、電源タップのスイッチが切れている、コンセント自体に電気が来ていない、の3つです。
コンセントに電気が来ているのにランプが消えている場合、説明書が挙げるのは、F型コネクターの芯線に編み線やアルミ箔が触れていないか、電源部と増幅部の間でケーブルがショートしていないか、という点です。サン電子の公式FAQ(サン電子「よくあるご質問-ブースタ」)でも、電源部と本体の両方のランプが消えているときは、ケーブルを外して電源部のランプがつけば配線経路のショートの可能性がある、と案内されています。
試す順番は、①同じコンセントにスマートフォンの充電器などを挿して電気が来ているか確かめる、②プラグを抜いてアンテナ線を電源部から外し、再びプラグを挿してランプの反応を見る、です。外した状態でランプがつけば、電源部より先の配線に原因がある可能性が高くなります。
判断のコツは、配線経路のショートが疑われたら、それ以上は自分で追わないことです。屋外や壁の中の配線は、販売店や施工した業者に点検を頼む領域です。
赤だけついているのは、電気を使う機器がつながりすぎている状態
赤だけが点灯している状態は、説明書では「過電流」とされ、出力電流が規格値の0.57Aを超えていることを表します。
電源部は決まった量までしか電気を送れません。説明書は、ブースターやアンテナ以外に電源が供給される機器がつながって過電流になっていないか確認するよう案内しています。たとえば、途中に電源を受ける別の機器を追加した、テレビ側のアンテナ電源とブースターの電源部が同じ系統で重なった、といった配線の変化が考えられます。
試す順番は、①最近追加した機器がないか思い出す、②追加した機器を外してプラグを挿し直し、ランプが緑に戻るか確かめる、です。戻れば、その機器が原因の可能性があります。
判断のコツは、何も変えていないのに赤だけつくようになった場合は、配線のどこかの劣化や故障も考えられるため、販売店かメーカーのサポートに相談することです。ランプの状態を写真に撮っておくと、相談がスムーズに進みます。
電源部は正常なのに映らないとき:分配器とテレビ端子の「通電」を疑う
電源部のランプだけでは分からない問題の代表が、分配器や壁のテレビ端子の「通電」です。電気を通さない部品が1つ挟まるだけで、ブースター本体に電気が届かなくなります。
電気を通さない分配器が1つ挟まるだけで本体が止まる
結論として、電源部と増幅部の間にある分配器・テレビ端子は、電気を通すタイプである必要があります。日本アンテナの公式解説でも、途中にある分配器やテレビコンセントなどは電通する端子を使うよう書かれています。
分配器には、電気を通さないもの、決まった1つの端子だけが電気を通すもの、全部の端子が電気を通すもの、の3種類があります。電源部をつないだ端子が電気を通さない種類だと、電源部の電気はそこで止まり、屋外の増幅部は動きません。見た目はどれも似ているため、交換したときに気づかないまま種類が変わってしまうことがあります。
試す順番は、①分配器の本体に「電流通過」「通電」などの表示があるかを見る、②電源部がつながっている線が、分配器のどの端子に挿さっているかを確認する、③表示がある端子(赤い端子や印が付いていることが多い)に電源部の線が来ているかを見る、です。
判断のコツは、分配器を触る前にスマートフォンで配線の写真を撮っておくことです。元に戻せる状態を残しておけば、確認のために抜き差ししても安心です。
1端子通過型と全端子通過型、どちらを選ぶか
電気を通す分配器には、1端子だけ通す型と全端子を通す型があります。マスプロ電工のブースターの取扱説明書では、増幅部と電源部の間で使う分配器は1端子電流通過型をすすめており、全端子電流通過型を使う場合は電圧降下の影響で配線距離を短くしなければならない、と注意しています。
全部の端子が電気を通すと便利そうに見えますが、電気がほかの部屋のテレビ端子にも流れていく分、先へ届く電気が減ります。配線が長い家ほど、この影響が出やすくなります。
一方でソニーの公式FAQでは、レコーダーの電源を切るとBSが映らなくなる家で、全端子通電型の分配器に替えるとレコーダーを切ってもテレビでBSが見られる可能性がある、と案内されています(ソニー「レコーダーの電源を切ると、BS/110度CSデジタル放送が映らないことがある」)。どちらが正解かは、電気を送るのが電源部か、テレビ・レコーダーかで変わります。
判断のコツは、電源部を使う家ではブースターの説明書の指定に合わせることです。分配器を買い替える前に、ブースターの型番で説明書を確認しておくと失敗が減ります。
模様替えで分配器を替えたら全部屋映らなくなった
このケースで分かりにくいのは、分配器を替えたのは「テレビを増やすため」で、ブースターのことを意識していない点です。家電量販店で手ごろな分配器を選ぶと、電気を通さない型や、BS・CSの周波数に対応していない型が混ざっていることがあります。
試す順番は、①元の分配器に戻す、②ランプが緑だけに戻るかを見る、③戻ったら新しい分配器の表示を確認し、通電する端子に電源部の線を挿し直す、です。
判断のコツは、分配器を選ぶときは「電流通過型」「4K8K対応」などの表示と、ブースターの説明書の指定の両方を満たすものを選ぶことです。
ランプが緑なのに一部の部屋だけ映らないときの考え方
電源部のランプが緑だけで正常なのに、特定の部屋のテレビだけ映らない場合、原因は電源よりも、その部屋までの配線や信号の強さにある可能性が高くなります。
マスプロ電工の説明書には、増幅部からテレビまでの長さは低損失の75Ωケーブル(S5CFB)で80mが限度、との記載があります。分配の数が多い、ケーブルが長い、古い細いケーブルが混ざっている、といった条件が重なると、遠い部屋ほど信号が弱くなります。
試す順番は、①映らない部屋のテレビのアンテナレベルを表示する、②映る部屋のテレビと同じチャンネルで数値を比べる、③壁のテレビ端子からテレビまでのケーブルを別のものに替えてみる、です。
判断のコツとして、数値が極端に低い部屋だけの問題なら、その部屋の配線を疑います。アンテナレベルの読み方と基準は、下の記事で詳しく整理しています。

テレビ側の「アンテナ電源」設定は入れる?切る?3社の公式の案内
ブースターの電源とセットで悩みやすいのが、テレビやレコーダーのメニューにある「アンテナ電源」の設定です。ここを誤解すると、電源部が正常でもBS・CSが映らない、という状態になります。
テレビもBS・CSアンテナへ電気を送れる仕組みになっている
BS・CSを受ける衛星アンテナ(パラボラ)は、それ自体が動くために電気を必要とします。そのため、多くのテレビやレコーダーには、アンテナ線を通して衛星アンテナへ電気を送る機能があります。
ソニーの公式FAQでは、衛星アンテナに電源を供給する場合は設定を「オート」か「入」にし、「切」にすると衛星アンテナに電源が供給されずBS・CS放送が映らなくなる、と説明されています(ソニー「テレビのBS・CS衛星アンテナ電源の設定方法」)。つまり、家の中で電気を送る役目は、ブースターの電源部だけでなく、テレビやレコーダーも担えるということです。
試す順番は、BSが映らないときに、まずテレビのアンテナ電源の設定を開き、今どうなっているかを確認することです。設定を変える前に、今の状態をメモしておきます。
注意点は、設定を「入」にすればよい、と単純には言えないことです。電源部がある家では、次の見出しで触れるように考え方が変わります。
ブースターの電源部がある家では、テレビ側は「切」が基本になる
電源部を使うブースターがある家では、屋外の増幅部や衛星アンテナへの電気は電源部が送ります。マスプロ電工のブースターの取扱説明書の接続例でも、テレビ側の電源供給は「切」として図示されています。
シャープのAQUOSの取扱説明書(シャープ「デジタル放送用アンテナの設定をする」)では、テレビとアンテナの間にブースターなどの機器をつなぐ場合、アンテナ電源は専用の電源が必要と案内されています。一方でソニーの公式FAQは、一部のブースター環境では「オート」でも電源が供給されないケースがあり、その場合はブースター側で電源供給の環境を整える必要がある、としています。どちらも、ブースターがある家ではテレビではなく電源部側で電気をまかなう前提だと読めます。
試す順番は、①電源部のランプが緑だけかを確認する、②テレビ側のアンテナ電源の設定を確認する、③BSが映らないときは、テレビの設定を変える前に電源部の状態を先に見る、です。
判断のコツは、設定を切り替えて様子を見るなら、1か所ずつ変えることです。テレビの設定と電源部のプラグを同時に触ると、どちらが効いたのか分からなくなります。
メーカー別:アンテナ電源の設定の場所と選択肢
設定の名前や場所はメーカーごとに違います。テレビのトリセツ調べとして、今回確認した3社の公式ページの記載をまとめました。記載のない項目は「公式に記載なし」としています。
| 項目 | ソニー(ブラビア) | パナソニック(ビエラ) | シャープ(AQUOS) |
|---|---|---|---|
| 設定の場所 | 設定→放送受信設定→アンテナ設定→衛星アンテナ設定 | 品番TV始まり:設定→ライブTV→放送オプション→受信設定→衛星デジタル→アンテナ電源/品番TH始まり:メニュー→機器設定→設置設定→受信設定→衛星→アンテナ電源 | 機種の取扱説明書のアンテナ設定の項目 |
| 選択肢 | オート/入/切 | FAQではオンを選ぶ手順のみ記載 | 供給しない/テレビ連動 |
| ブースターがある場合 | オートでも供給されない環境があり、ブースター側で電源供給を整える | 公式に記載なし(当該FAQ) | ブースターなどを接続する場合は専用の電源が必要 |
表の出典は、ソニー公式FAQ、パナソニック公式FAQ、シャープ公式の取扱説明書です。シャープの手順は機種ごとの取扱説明書に分かれているため、自分の型番のページで確認してください。
判断のコツは、型番を確かめてからメーカーの公式ページを開くことです。同じメーカーでも、年式によってメニューの名前や階層が違います。
レコーダーの電源を切るとBSが映らない家の仕組み
テレビの電源は入っているのに、レコーダーの電源を切った途端にBSが映らなくなる、という相談もあります。これはブースターの電源部ではなく、レコーダーが衛星アンテナへ電気を送っている配線で起きやすい症状です。
ソニーの公式FAQでは、レコーダーから衛星アンテナへ電源を供給している場合、レコーダーの電源を切るとアンテナへの電源が止まりBS・CSが見られなくなる、と説明されています。対処として、テレビ側のアンテナ電源を有効にする方法や、全端子通電型の分配器に替える方法が挙げられています。
試す順番は、①レコーダーの電源を入れた状態と切った状態でBSが映るか比べる、②テレビ側のアンテナ電源の設定を確認する、③家に電源部があるなら、そのランプの状態も見る、です。
判断のコツは、電気を送っている機器が家の中で1つなのか複数なのかを把握することです。電源部、テレビ、レコーダーのどれが送っているかが分かると、どこを触ればよいかがはっきりします。
電源部が壊れたかもしれないとき、交換・修理・相談の分かれ目
ランプがつかない、プラグを挿し直しても映らない、という状態が続くと、電源部の故障を疑うことになります。ここでは交換の前に確認したいことを整理します。
電源部だけ単体で買えるとは限らない
意外と知られていないけれど、ブースターの電源部は、メーカーによっては単体で売られていません。マスプロ電工の公式サポートページでは、ブースター電源部は単体で購入できず、電源供給器(BPS6W)が代用品になると案内されています。
日本アンテナでは、特定のブースター専用の保守用電源部として販売されていた製品があり、たとえばNPS150AはN42DU2、N42DU2-BP専用の保守用電源部とされていますが、公式通販では販売終了品と表示されています。DXアンテナは、ブースター用電源装置としてPSH30Sを公式製品一覧に掲載しています(DXアンテナ「ブースター用電源装置/オプション」)。
| マスプロ電工 BPS6W/BPS6WB | 出力 DC15V(最大0.57A)/入力 AC100V/伝送周波数帯域 10〜3224MHz |
| DXアンテナ PSH30S | 出力 DC15.5V、最大500mA/CS/BS-IF・UHFブースター、デュアルブースター向け専用電源部 |
| 日本アンテナ NPS150A | 出力 DC15V/最大0.15A/N42DU2、N42DU2-BP専用の保守用電源部(販売終了品) |
| 価格 | 販売店ごとに異なるため、公式通販・販売店でご確認ください |
判断のコツは、同じ「DC15V」の表示があっても、最大電流や対応するブースターが機種ごとに違うことです。型番の一致を確かめずに買うと、使えない、あるいは十分に電気を送れないことがあります。
他メーカーの電源部と組み合わせないのが取扱説明書の指示
手元に別のメーカーの電源部があっても、流用は避けてください。マスプロ電工の取扱説明書には、増幅部と電源部は必ずセットで使い、他の機器や他メーカーのものと組み合わせないよう書かれており、その理由として火災の原因になることが挙げられています。
電源部は、つながる増幅部が必要とする電圧や電流に合わせて作られています。形や端子が同じでも、出せる電流や保護の仕組みが違えば、過電流や発熱につながるおそれがあります。
試す順番は、①今の電源部と増幅部のメーカー・型番を確認する、②そのメーカーの公式サイトで、代用品や保守部品の案内があるかを調べる、③見つからなければメーカーのサポートか販売店に、型番を伝えて相談する、です。
判断のコツは、増幅部の型番が分からない場合です。屋根の上の本体を確認するために上るのは危険なので、設置した業者や住宅の購入時の資料を当たるか、販売店に相談します。
保証期間と、相談先の優先順位
電源部が壊れた可能性があるとき、相談先を選ぶ目安は保証期間です。マスプロ電工のBPS6Wの保証書では、保証期間はお買上げ日から1年間で、保証期間中の故障は購入した販売店に本製品と保証書を持参して修理を依頼する形になっています。
同じ保証書には、落雷や異常電圧による故障、設置工事の不備による故障などは保証期間中でも有料修理になると書かれています。雷のあとで電源部が動かなくなった場合は、無料修理の対象外になる可能性がある点を知っておくと、相談のときに慌てずに済みます。
試す順番は、①保証書と購入時の領収書を探す、②保証期間内なら購入した販売店へ、③期間外や販売店が分からない場合は、メーカーのサポート窓口か、ブースターを設置した業者へ、です。
判断のコツは、修理費用の見積もりが出たら、電源部だけの交換か、増幅部も含めた交換かを確認することです。長く使っている場合は、次の見出しで触れる本体側の寿命も判断材料に入ります。
電源部ではなく、屋外の本体が原因のこともある
電源部のランプが緑だけで正常なのに映りが悪い、あるいは電源部を交換しても症状が変わらない場合、屋外の増幅部やアンテナ側に原因がある可能性があります。
屋外の増幅部は雨風や温度差にさらされるため、室内の電源部より環境が厳しいのが一般的です。取扱説明書でも、ブースター増幅部の取付金具やケース、マストの状態を定期的に点検し、台風や大雪の後は点検するよう案内されています。ただし、この点検は屋根の上の作業になるため、自分で上るのは避けてください。
試す順番は、①地上から見てアンテナやマストが傾いていないかを確認する、②台風や大雪の直後から症状が出ていないかを振り返る、③異常が見えたら電源部のプラグを抜いて販売店に修理を依頼する、です。
判断のコツとして、ブースター本体の寿命の考え方や交換のサインは、下の記事で詳しくまとめています。

電源部を安全に置くための注意と、住まい別の考え方
電源部は小さな箱ですが、24時間通電している電気機器です。置き場所と扱い方で、故障や事故のリスクが変わります。
押し入れ・本棚の奥・布の上はNG、風通しが第一
電源部はマスプロ電工の取扱説明書で、押し入れ・本箱・天井裏など風通しの悪い狭いところに押し込む、テーブルクロスを掛ける、じゅうたんや布団の上に置く、布でおおう、といった使い方をしないよう案内されています。内部に熱がこもり、火災の原因となるためです。また、電源部は屋外で使わない、風呂場など水回りで使わない、ケースを開けない、内部に触れない、という注意もあります。
電源部は目立たない場所に置かれがちで、家具を動かしたときに奥へ押し込まれたり、上に物が載ったりしやすい機器です。触ると温かい程度は動作中の熱ですが、周りに熱がこもる置き方は避ける必要があります。
試す順番は、①電源部の上や周りに物が載っていないか見る、②布や紙でおおわれていないか確認する、③壁掛けにできる機種なら、取扱説明書の方法で壁に付ける、です。マスプロ電工の説明書では、壁に付ける場合は接着剤やテープではなく付属の木ねじで取り付けるよう案内されています。
判断のコツは、年に1回、大掃除のときに電源部の周りを確認する習慣をつけることです。
ラジオに雑音が入るなら、置き場所を離してみる
電源部の近くでラジオを聞いていると雑音が入ることがあります。マスプロ電工の説明書にも、ラジオの近くに置くとラジオに雑音が入ることがあるので、できるだけ離して使うよう書かれています。
電源部は家庭用の交流を直流に変える装置で、動作中にわずかな電気的な雑音を出すことがあります。テレビの映りには影響がなくても、AMラジオなど雑音を拾いやすい機器では聞こえ方に差が出ることがあります。
試す順番は、①ラジオを電源部から離した場所で聞き比べる、②雑音が減るなら、ラジオか電源部の置き場所を変える、です。電源部を移すときは、先にプラグを抜いてからにします。
判断のコツは、電源部を動かすとアンテナ線の長さが足りなくなる場合、無理に引っ張らず、ラジオの方を動かすことです。
煙・異臭・異音はすぐにプラグを抜いて販売店へ
電源部から煙が出る、焦げたにおいがする、異音がする、といった場合は、すぐにACプラグを抜きます。マスプロ電工の説明書では、異常のまま使うと火災・感電の原因になるため、すぐにプラグを抜き、煙やにおいがなくなったのを確かめて販売店に修理を依頼するよう案内されています。
同じ説明書には、テレビが映らない、音声が出ないといった症状があるときも、テレビと一緒に電源部のプラグを抜いて販売店に修理を依頼するよう書かれています。自分で修理するのは危険なので行わないように、という注意もあります。
ブースターの不具合はテレビの映りだけの問題ではありません。マスプロ電工の説明書では、配線の誤りなどでブースターが「発振」すると妨害電波を出し、たった1台からの発振が3,000世帯のテレビ画像に妨害をおよぼした例もあると紹介されています。異常に気づいたらプラグを抜くことは、自宅だけでなく近所への影響を止めることにもなります。
判断のコツは、プラグを抜いたあとに無理に挿し直して様子を見ないことです。煙やにおいが出た機器は、原因が分かるまで使わないのが安全です。
戸建て・マンション・賃貸で違う「触っていい範囲」
ブースターの電源を自分で触ってよい範囲は、住まいの形で変わります。
戸建て(持ち家)は、電源部も分配器も自分の設備です。この記事で紹介した、プラグ・ランプ・室内の分配器の確認は自分で行えます。屋根の上の増幅部やアンテナは、販売店や施工業者に任せる範囲です。
マンションなど集合住宅では、ブースターは建物の共用設備にあることが多く、住戸内に電源部がないのが一般的です。シャープの取扱説明書でも、共聴アンテナにつなぐ場合などはアンテナ電源を「供給しない」にする設定が用意されています。映りが悪いときは、住戸内のテレビ端子から先の配線を確認したうえで、管理会社に相談します。
賃貸の戸建てでは、電源部があっても設備の持ち主は貸主です。プラグの挿し直しやランプの確認は問題ありませんが、分配器の交換や配線の変更は、先に管理会社や貸主に相談するのが無難です。
判断のコツは、「自分の設備か」「屋内か」の2つで線を引くことです。どちらかが違えば、自分で直そうとせず相談先に回すのが結果的に早く解決します。
まとめ
今日できる最初の一歩は、家の中の電源部を探して、どのコンセントに挿さっているかとランプの色を確かめておくことです。スイッチ付きのタップにつながっていたら、スイッチのないコンセントに移すだけで、深夜の録画失敗を防げることがあります。
※設定の名称や手順は機種・年式で異なります。最新情報は各メーカー公式サポートでご確認ください。

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